【戦前のBMWを組み合せたクーペ】ブリストル400 英国新ブランドの誕生 前編

公開 : 2020.06.21 07:20  更新 : 2020.12.08 11:04

BMWのメカニズムを流用して誕生した、英国のブリストル400。ブリストル・カーズの出発点として優れた完成度を誇る、重要な意味を持つモデルです。かつて経営者が乗っていた貴重な2台へ、英国編集部が試乗しました。

BMW 326と327、328を融合

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
第二次大戦後、英国に誕生したブリストル・カーズ。設立当初は戦前のBMWを生産していただけだ、と表現するのは正しくない。

英国フィルトンを拠点とするブリストル・エアロプレーン・カンパニー(BAC)は、平和が訪れると、賢明な決断をした。戦争の賠償として、ブリストルはBMW 326、327、328の生産権を取得。自動車部門を立ち上げたのだ。

ブリストル400(1947年−1950年)
ブリストル400(1947年−1950年)

バイエルンのエンジン製造メーカーが保有する最良のコンポーネンツを組み合わせ、新モデルの生産を初めた。ブリストルが生み出すまで、BMWでは独立モデルとして作られなかったパッケージだった。

トーションビーム式のサスペンションと2886mmのホイールベースを持つ326のシャシーに、327へ手を加えた、オリジナルのクーペボディを載せた。そのフロントには、328譲りの素晴らしい直列6気筒エンジンを収めた。ブリストル400の誕生だ。

ツインバルブのアルミニウム製ヘッドと、混合気流を生み出すダイレクト・インレットポート。強固なスチール製ブロックによるクロス・プッシュロッドの2.0Lユニットは、恐らく戦前のドイツ製エンジンとして最高と呼べる技術が投入されていた。

その時すでに、ドイツ人がフューエル・インジェクションでこのエンジンを試験していたという事実には、ただ驚かされるばかりだ。

ブリストルとして最高の完成度

ブリストルはこのユニットへ、サイドドラフトでSU製キャブレターを3基組み合わせた。1971ccから得られた最高速度は144km/h。その後60年間に渡って生み出され続ける、4シーターのクローズドクーペという、ブリストルの雛形を生み出したともいえる。

その当時、2.0Lエンジンを搭載した英国製モデルの最高速度は、112km/h前後。ブリストル400は、130km/h近い速度での巡航も可能だった。

ブリストル400(1947年−1950年)
ブリストル400(1947年−1950年)

これまでのブリストル製モデルの中で、400は最も多くが販売されてもいる。バイエルンのメーカーとのつながりを強く感じさせる見た目も、ブリストル400だけの特徴といえる。恐らく700台程度が作られ、オーストラリアなど右ハンドル市場へ輸出された。

BMW 327クーペのボディをベースに、滑らかなデザインとしつつ、広い車内空間が確保された。コーチビルダーのオーテンリートが手掛けた、オリジナル・デザインほどの威厳は漂わないが。

ふくよかで上品なブリストル400は、戦後のビジネスマンが運転するクルマとしてぴったりだった。BMWは、ドイツ空軍の将校が軍服を着て乗り回すような、重々しい雰囲気がある。

アルミニウム製のボディや膨らみを持つフェンダーラインは、クラシックなブリストルの容姿を構成する要素。佇まいは、貴婦人のようでもある。競争力や品質の面で、ブランド最高の完成度だったと評価する人もいるほど。

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