【2020年版】AUTOCAR英編集部が選ぶ「いま新車で買えるクルマ」ベスト50 後編

公開 : 2020.07.19 08:50

1位 アリエル・アトム4

完全新設計となったアトム4がターボ付きエンジンを採用すると聞いたとき、われわれは少々心配になった。

高回転域が制限され、聴覚的魅力に欠けるのではないかと思ったからだ。

アリエル・アトム4
アリエル・アトム4

また、これまでアトム3.5のスーパーチャージャー付きエンジンにさえ時折手を焼いていたシャシーに、さらに大きなトルクが与える影響を懸念したのだ。

そんな心配を抱きながら新型アトム4に試乗した。やはり、エンジンは従来ほどハードには回らない。印象的な唸り声も影を潜めた。しかし、そんなことは気にならなくなる。

それよりも、いま目の前で起こっていることがなかなか信じられない。まず、前方が空いている限り信じられないほど速く加速する。エンジンが最も大きなパワーを発生する回転数を維持するには、超人的な勇気が必要だろう。

しかし、それからすぐ後、別のことに気が付く。

速さは数段増しているにもかかわらず、完全新設計のシャシーを持つアトム4は、実際にこれまでのアトムよりはるかに乗りやすいのだ。従来のアトムは常に乗り心地が荒かった。これまでと同様、パフォーマンスを引き出すためには知恵が必要だが、もはや緊張はまったくない。

昨年秋、このクルマが毎年恒例の英国ベスト・ドライバーズカー選手権で1位に選ばれた(その年に英国で販売されているクルマが対象)ときのように、サーキットで乗れば信じられないほどの速さを発揮し、直感的に操る運転に夢中になれる。

しかも合法的に公道を走ることもできるのだ。その性能は、ドライバーを安全に、彼または彼女が今まで体験したことがないレベルに到達させることができる。

というわけで、われわれが最高のドライバーズカーとして選んだクルマは、アトム4だった。

最高のドライバーズカーとなる条件とは

最も速くて軽量でパワフル、驚異的なグリップと最高のブレーキを備えたクルマでも、今回の上位に選ばれているとは限らない。なぜなら、最も重要と考えられるのは、そのクルマが本当にドライバーのために設計された素晴らしいクルマであるか、ということだからだ。

言い換えれば、最もドライバーに自信を与えてくれる性能を備えたクルマということである。ドライバーが自信を持てなければ、どれほど高い性能を備えていてもそれらは役に立たない。ドライバーが恐怖を感じてしまったら、その性能をすべて引き出すことは不可能だからだ。

1位に選ばれたアリエル・アトム4
1位に選ばれたアリエル・アトム4

ドライバーに自信を与えてくれる特性を持ったクルマであれば、今回の順位で上位に選ばれているはずだ。

では、どうすればドライバーに自信を与えるクルマができるのだろうか?

近道はない。シャシーの剛性を高め、重量を適切に配置し、最高のドライビング・ポジションが取れるように設計して、さらに鋭いレスポンスを発揮するエンジンを用意すること。そうしてやっと出発点に立てる。

それから幾度もテスト走行を重ね、スプリングやロールバーを絶え間なく調整する。ダンパーとサスペンションのジョイント部に使われているあらゆるブッシュの設定を何度も見直し、ステアリングの反応を磨き上げる。そしてこれを繰り返す。

それでようやく、ドライバーの気に入るだけでなく、望む通りに動くクルマができあがるのだ。

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