【非凡なエンジンとハンドリング】ボクソール(オペル)・アストラ1.2ターボへ試乗

公開 : 2020.06.20 10:20  更新 : 2020.06.20 12:36

新しい1.2Lの3気筒ガソリンターボを獲得したアストラ。ライバルに劣る部分もありますが、英国で製造されるハッチバックとして、秀でたパフォーマンスを備えています。マイナーチェンジ版を英国編集部が評価しました。

英国ではベストセラーの定番モデルだった

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
以前は英国のベストセラーとして上位10位の定番だった、ヴォグゾールオペル)・アストラ。近年は、その姿が見えないようだ。

昨年受けた大幅なフェイスリフトをもってしても、アストラの英国トップ10復活には結びついていない。SUV人気の中で、ファミリー・ハッチバックというセグメント規模は縮小傾向。メルセデス・ベンツAクラスなどの手頃な価格設定もあり、逆風は弱くない。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.2ターボ 145エリート(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.2ターボ 145エリート(英国仕様)

それでも、アストラは充分に検討する価値がある。今回は新しい1.2Lのガソリンターボ仕様を、少し長い時間をかけて試乗する機会を得た。

英国の場合、アストラは会社からの貸与車両として需要が高い。特に、新しい1.5Lのディーゼルエンジン版は税制的にも有利で、燃費でも優れている。

新しく設定された3気筒ガソリンエンジンも、同等の燃費性能とCO2の排出量を叶えている。最高出力は109psと129ps、145psの3段階を用意。こちらは一般ユーザーの支持を得ることになるだろう。

この1.2Lの3気筒ターボ・ガソリンエンジンは、グループPSAの同排気量ユニットとは別物。オールアルミ製で、1.5LのディーゼルエンジンとともにGM傘下時代に開発されたユニットだ。

オペルとヴォグゾールは2017年にグループPSA傘下となったが、1.4Lの4気筒ターボに入れ替わるかたちで、新しいユニットはそのまま採用となっている。このエンジンは、とても好印象。残った理由もうなずける。

ハンドリングはフォード・フォーカスに迫る

回転域を問わず軽快に吹け上がり、アストラへ心地良くスピードを与えてくれる。決して気持ちが燃え上がるパフォーマンスを発揮するわけではないが、現実世界の交通環境で充分に楽しませてくれる。

6速MTも改良を受け、変速フィールは滑らか。エンジンとの相性もすこぶる良い。

ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.2ターボ 145エリート(英国仕様)
ヴォグゾール(オペル)・アストラ 1.2ターボ 145エリート(英国仕様)

加えて燃費も優れている。スペックシート上だけでなく、実際に17.0km/Lを超える燃費での走行も難しくない。ダウンサイジングされた3気筒ターボとはいえ、この数字はなかなか得られるものではない。

1.2Lの3気筒ユニットは、従来の1.4L 4気筒ユニットより10kgほど軽量。鼻先が軽くなり、機敏な動きを感じ取れる。その回頭性の鋭さは、きっと読者の想像以上。フォード・フォーカスの水準には達していないものの、素晴らしいハンドリングだ。

フェイスリフトに合わせて、シャシーにも変更を受けている。スプリングやダンパー、ブッシュ類の設定も見直され、滑らかな乗り心地を実現した。まとまりのある操縦性や、機敏な身のこなしへと結びつけている。

オペルがアストラへ与えた設計意図は、しっかり達成できている。ドライバーを興奮させすぎることなく、優れた快適性と活発なダイナミクス性能を獲得している。ステアリング・システムも改良されたが、これは従来通り、アストラの弱点といえる。

スタイリングにも、わずかながら変更を受けた。主にフロントグリルとヘッドライトのデザインだ。

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