【詳細データテスト】アウディA8 ハイブリッドの制御、みごと 乗り心地はクラス水準に届かず

公開 : 2020.06.28 08:50  更新 : 2020.06.29 02:36

走り ★★★★★★★★★☆

高級サルーンにとって、パフォーマンスについて語る場合、論じられるべきは加速や制動のタイムといった絶対的な数値だけではない。デリバリーの性質もまた重要になってくる。むしろ、そちらのほうが重視されるといってもいい。

3.0LターボV6と電動モーターがともにマックスまで性能を発揮すると、このA8 L 60 TFSIeは2330kgの車重をものともせずに、発進から5秒以下で100km/hに到達する。だが、それがもし手に負えないスクランブル発進のような加速だったなら、このクルマのまさにレゾンデートルが揺らいでしまう。

電動パワートレインの使い方はみごとで、エンジンとの連携も滑らか。もちろん、絶対的な速さもあり、2330kgもの巨体が5秒以下で100km/hに到達する。
電動パワートレインの使い方はみごとで、エンジンとの連携も滑らか。もちろん、絶対的な速さもあり、2330kgもの巨体が5秒以下で100km/hに到達する。

幸いにも、この新たなパワートレインのパワーとトルクのデリバリーは、エレガントでコントロールの効いたものにほかならない。電気モーターのあまりあるアシストがあって、スロットルレスポンスは速く、そこから推進力が思った通りに、そして望めば迅速に増していく。

とはいえ、71.3kg-mものシステム最大トルクがたった1370rpmから発生するのだから、回転計の針が2000rpmを超えることはそうそうない。この回転域なら、二重ガラスに囲まれた金庫のようなキャビンで、エンジンの仕事ぶりを感じ取ることはまずないはずだ。

フルスロットルでは、ディーゼルとは違って甘美なエンジンサウンドが、驚くほど響き渡るのを味わえる。もっとも、745Leの直6サウンドほど耳を楽しませてはくれないかもしれないが。

ただし、この手のクルマのほとんどはショーファードリブン的な使われ方をするだろう。控えめな速度で走ることも多いだろうが、そこではアウディが電力走行のセッティングに精通しているとよくわかるはずだ。

ひくついたり、反応が遅れたりすることはなく、作動の複雑さを教えるような音もほとんど聞き取れなかった。8速ATの変速も上々で、流れが明らかに途切れるようなことは皆無だ。

燃費については、45kmを謳うEV走行のポテンシャルをどう使うかに左右される。バッテリー残量なしで、高速道路を8速で流した場合、テスト車がマークした燃費は12.4km/Lだった。

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