シビック・タイプRと肩を並べる速さ ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0R(2) トラッドな英国製スポーツを再解釈

公開 : 2026.06.11 18:10

英国製スポーツの再来を掲げた、ウェルズ・ヴェルティージュ。1.0t切りの小柄ボディへ積まれるのは、250psのNA 2.0L 4気筒です。たおやかな操縦性は、まさに期待通り。UK編集部が試乗します。

シビック・タイプRと肩を並べる動力性能

ウェルズは、ヴェルティージュで数字的な動力性能は追求していないと主張する。それでも、0-100km/h加速は5.5秒で、約50km/hから110km/hまでの中間加速は5.7秒。息を呑む勢いとはいえないものの、手懐けやすさと興奮の、絶妙なバランスにある。

ホンダ・シビック・タイプRと肩を並べるといえば、速さが理解できる。免許の点数が吹き飛ぶ領域へ瞬間的には達せず、胸のすく速度上昇を堪能できる。アルピーヌA110は1秒近く鋭いが、ローンチコントロールとデュアルクラッチATが効果的だから。

ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0R(英国仕様)
ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0R(英国仕様)

それ以上に、数字では表れない体験が魅惑的。フォード・デュラテック・ユニットは3700rpmでカムが切り替わり、吸気音がクレッシェンドし、8000rpm目掛けて吸い込まれるよう。アクセルペダルのストロークが長く、必要なパワーも引き出しやすい。

荒っぽさと生々しさが共存する個性は、量産エンジンのものとは思えないほど。ブレーキにはアンチロック機構が備わらないが、足裏へのフィードバックが豊かで、望み通りの制動力を得やすいことも高く評価したい。ペダル配置も理想的だ。

クラシカルな英製スポーツカーらしい操縦性

コーナリングは、A110のようにシャープなわけではない。ソフトなサスペンションとクイック過ぎないステアリングが調和した、往年のたおやかな感覚を呼び起こさせる。これぞ、まさにクラシカルな英国製スポーツカーの特徴だろう。

動的能力は高い。加減速時にノーズやテールは上下動し、旋回時はボディが外へ傾くが、タイヤは頼もしく路面を掴みスピードを保ちやすい。そのグリップ感は、ステアリングホイールだけでなく、しなやかなボディの動きからも把握できる。

ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0R(英国仕様)
ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0R(英国仕様)

乗り心地の良さは、A110に劣らず。タイヤは小径で、路面の凹凸を拾いやすいものの、高速道路では流暢で快適なマナーに身を置ける。ダンパーの設定次第で、より好みの特性へ調整もできる。

1つ気になったのが、3速から2速へのシフトダウン。少し気を使って、レバーを動かす必要があるようだ。

コーナーをすり抜ける安定したスライド

ヴェルティージュの本領を堪能するなら、サーキット。僅かに負荷をかけつつ、アクセルやブレーキペダルの角度を積極的に変えれば、バランスの良い旋回が始まる。ステアリングホイールを切らずとも、安定したスライドでコーナーをすり抜けられる。

上手く操れば、LSDなしでも意欲的な脱出加速も可能。それが備わった方が、走りは一層高度になるはずだが。ただし、事前にダンパーは引き締めておく必要がある。シャシーの反応をタイトにしつつ、タイヤがフェンダーへ触れるのを防げる。

ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0R(英国仕様)
ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0R(英国仕様)

ブレーキは、ディスクもパッドも市販品で低コスト。タイヤも、量販店で購入できる。ボディはFRP製だから、部分的な修理も難しくない。反面、メーカー保証は1年と短い。

燃費は、市街地や高速道路を交えた平均で12.0km/L。高速巡航なら16.5km/L近くへ伸び、満タンで800km近く走れる。良好な乗り心地と相まって、グランドツーリングにも充分対応できるはず。3000rpm前後でのエンジン音は、少々うるさいが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ウェルズ・ヴェルティージュ 2.0Rの前後関係

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