【覚えているか?】ダイハツ・アプローズ 長所あるも拍手喝采とはいかなかった背景 悲運な名車

公開 : 2020.07.18 05:50  更新 : 2021.10.13 12:20

ダイハツ・アプローズ覚えていますか? 実はリアウィンドウもろとも大きく開くハッチバック車。輸入車の雰囲気をまとうこのクルマは当時、一部報道機関がセンセーショナルに報道で「悲運な名車」となりました。

ダイハツ・アプローズ覚えているか?

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

ダイハツのイメージといえば、軽自動車~コンパクトカーに強いメーカーというイメージがあるだろう。

先日デビューするや否や、月販目標台数の4.5倍もの受注を獲得したタフトや、安定した人気を誇るタントなどはダイハツを代表する軽自動車と言える。

ダイハツ・アプローズ
ダイハツ・アプローズ    ダイハツ

一方の普通車も5ナンバーサイズのコンパクトSUVとして大ヒット車種となったロッキーや、トールワゴンのトール、ベーシックカーのブーンとどれも1000cc未満のエンジンを搭載するリッターカーとなっており、OEM供給を受けるモデル以外はすべてコンパクトカーというラインナップだ。

しかし、過去にはもう少し大きなモデルもダイハツは生産していたことがあり、古くは1970年代に存在したシャルマンが知られるところ。

シャルマンは旧型のカローラのプラットホームをベースとしてダイハツオリジナルの外装を乗せたモデルだ。

初代モデルは当時のクラス唯一となる4灯式ヘッドライトを採用するなど、上級感を売りとしたモデルだった。

そんなシャルマンも1986年には2世代目の生産も終了し、しばらく空白だった同クラスに1989年に登場したのが今回ご紹介するアプローズである。

プラットホームも含めダイハツのオリジナルモデルとなったアプローズはどんなクルマだったのだろうか?

欧州でも通用するクルマとして登場

ダイハツとしては久しぶりに大衆車市場に送り込むこととなったアプローズは、ヨーロッパでも通用するクルマとして開発された意欲作。

エクステリアもどことなく輸入車風のデザインとなっていた。

ダイハツ・アプローズ
ダイハツ・アプローズ    ダイハツ

同車のコンセプトモデルとなった「MS-X90」が初披露されたのは89年のジュネーブショーだったと聞けば、その触れ込みもあながち嘘ではないということがおわかりいただけるだろう。

一見するとコンサバティブな4ドアセダンに見えるアプローズであるが、実はリアウィンドウもろとも大きく開くハッチバック車であり、開口部もバンパーレベルからという非常に使い勝手に優れたもの。

現在でもプリウスを筆頭に5ドアハッチバック車は珍しくなくなってきたが、ここまであからさまなノッチバックスタイルを持った車種はアプローズ以外に存在しない。

リアシートは人が座ることが前提の肉厚なものとなっているが、座面を引き起こして背もたれを倒せばフラットかつ広大な荷室スペースが現れるという点も、いかにも欧州で受けそうなポイント。

一説にはレーシングカートがそのまま積めるほどの広さと言われていた。

4輪独立式となるサスペンションには周波数感応式ショックアブソーバーが上級グレードにはおごられ、1.6Lエンジンは120psを発生する充分なもの。

これならヒット間違いなしと思われていたのだが……。

記事に関わった人々

  • 小鮒康一

    Koichi Kobuna

    1979年生まれ。幼少のころに再放送されていた「西部警察」によってクルマに目覚めるも、学生時代はクルマと無縁の生活を送る。免許取得後にその想いが再燃し、気づけば旧車からEV、軽自動車まで幅広い車種を所有することに。どちらかというとヘンテコなクルマを愛し、最近では格安車を拾ってきてはそれなりに仕上げることに歓びを見出した、尿酸値高い系男子。

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