ロータス『エミーラ』にV8エンジン導入? 排ガス規制でトヨタ製V6は廃止の可能性

公開 : 2025.05.23 06:45

ロータスは、『エミーラ』にV8エンジンを搭載する可能性があります。米国市場から高出力化を求められたものの、現行のV6は次期排ガス規制に適合しないため、結果としてV8の導入を検討しているとのこと。

米国から要望 V6の高出力化は断念

ロータスは、スポーツカーの『エミーラ』にV8エンジンを追加で設定する準備を進めている。

同社CEOのフェン・チンフェン(Feng Qingfeng)氏は最近の決算発表で、エミーラの高出力バージョンを出すと明らかにした。 「現在、V8エンジンの実現可能性を検討している」と同氏は述べている。

ロータス・エミーラ
ロータス・エミーラ

現在、エミーラにはトヨタ製の3.5L V6エンジンとメルセデスAMG製の4気筒ターボエンジンが設定されている。最高出力はそれぞれ365psと405psを発生するが、V6は今後のユーロ7排出ガス規制に適合しないため、フェン氏はV6の出力向上を否定した。

ロータスは当初、V6エンジンを段階的に廃止し、4気筒エンジンに切り替える予定だったが、世界最大のスポーツカー市場である米国で6気筒エンジンが根強い人気を誇っていることから、より大型のエンジンの搭載を検討するようになった。

エミーラは、英国ヘセルにあるロータスの工場で生産されており、昨年の販売台数は5272台と過去最高を記録した。

ロータス・カーズ欧州部門責任者の新CEOであるマット・ウィンドル氏は、AUTOCARに対し、「米国は、ロータスにとって非常に重要な市場です。それは昔から変わりません。そのため、今後の市場需要を見極めています」と語っている。

ウィンドル氏はV8エンジンについては明言しなかったが、他のパワートレインも検討しているという。

「非常に完成度の高い製品ですが、まだそのポテンシャルを十分に引き出せていないため、あらゆる選択肢を検討しています」

メルセデスAMGがV8エンジンの供給元となる可能性もある。ウィンドル氏は「現在のエンジンサプライヤーとの間でいくつかの機会があるため、検討中です」と述べたが、AMGの名は伏せた。

メルセデスAMGは、アストン マーティンにも4.0L V8ツインターボエンジンを供給しており、スポーツカーのヴァンテージやSUVのDBXなどに搭載されている。しかし、ミドシップエンジン車であるエミーラのコンパクトな車体に、大型のエンジンをどのように組み込むかは未知数だ。

もし、『エミーラV8』が発売された場合、同社にとっては2004年にエスプリV8がラインナップから姿を消して以来のV8エンジン搭載車となる。

フェン氏が決算発表の場でV8の採用を検討していると発表したのは、米国のディーラーから、ポルシェ911 GT3に対抗できる、軽量で高出力のV6エンジン搭載車を導入すべきだという提案を受けたためだ。

最高出力517psの911 GT3は、英国での販売価格は15万8200ポンド(約3000万円)からで、9万2500ポンド(約1790万円)のエミーラV6よりもかなり高額だ。つまり、ロータスにはまだ平均販売価格を引き上げ、収益を改善するチャンスがあると言える。

ロータスは、4月に米国で25%の関税が適用されたことを受け、英国生産のエミーラの対米輸出を停止している。さらに、米国が中国製の製品に145%の関税を課したことから、米国でのエレトレおよびエメヤの販売を中止した。米国は昨年、ロータスの販売台数の5分の1を占めたが、現在は1台も出荷されていない。

英国と米国の間では最近、これらの関税を10%に引き下げるという合意がなされ、ロータスにとって追い風となっているが、ウィンドル氏は詳細の確認を待ってから、米国への出荷再開を判断するつもりだ。

「表面上の数字は公表されましたが、その詳細はまだ明確になっていません。出荷可能な製品はありますが、焦って行動して失敗するリスクは避けたい。現在の状況では関税はマイナス要因ですが、将来的にプラスに転じる可能性もあります」とウィンドル氏は述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ニック・ギブス

    Nick Gibbs

    英国編集部ビジネス担当記者
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事

        ×