【全SUV電動化、完了】ボルボのECV入門、「XC40リチャージ」に試乗してみた

公開 : 2020.08.25 11:50  更新 : 2021.10.09 23:31

ボルボの小型SUV、XC40に「リチャージ(Recharge)」が登場。PHEV車といっても、国産とは考え方が異なるようです。あわせて、ボルボが日本販売する全SUVモデルから、内燃エンジンだけの車種がなくなりました。

Recharge Plug-in どんなクルマ?

text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)
photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

よく野球は「調子が悪いなりに試合を組み立てられる先発(ピッチャー)」が重宝されるが、欧州車はやっぱりサッカー的なロジックで作られているのかもしれない、そう思った。

ボルボが新たに発売したPHEVモデル、「XC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5」のことだ。

XC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5インスクリプション(ペブルグレーメタリック)
XC40リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT5インスクリプション(ペブルグレーメタリック)    池之平昌信

サッカーは基本、ホーム&アウェイ方式で得失点差を争うので、悪いなりの時に失点し過ぎて傷口を広げないことが肝要になる。

「ボルボXC40リチャージPlug-inハイブリッドT5インスクリプション(今回の試乗車の正式モデル名)」に乗ってもっとも感心したのは、車格に対して直3のガソリン1.5Lターボという、けっこうなダウンサイジング・ターボを組み合わせていること。

しかも180ps/27.0kg-mという、ハイチューンかつ高効率ユニットであることに、痛く感じ入ってしまった。

ようするにPHEVは、バッテリー残量がゼロ近くで長距離走行する時は、余分な重量物を載せた効率の悪いICE車に成り下がるもの。満充電で出かけた往路は好燃費で、それこそホームゲームのヨイヨイ状態だが、最大航続レンジを超えての往路こそがじつはアウェイの洗礼で、できるだけ失点を食い止めたい守りの時間帯。

そうなった時間帯の、XC40リチャージの守備の固めっぷりというか、燃費を落とさない&動力性能の確保ぶりが、お見事なのだ。

3名乗車で、ピュア(EV走行)モードやハイブリッド(デフォルト)モードの時は18~16km/Lはあった直近の平均燃費が、むろん落ちるものの、14km/L後半にとどまる。

カタログ値では15.1km/Lだから、規定通りのパフォーマンスといえる。それでいて加速が鈍るとか軽快さが失われるといったマイナスフィールはない。苦しい時間帯に守備的ボランチが入ったような心強さなのだ。

CセグPHEVという難ポジション その戦略は?

逆に国産のPHEVだと大排気量エンジンが組み合わされているため、こうはいかない。

EVモードでの最大航続距離はなるべく長く、バッテリー残量がゼロでもレスポンスや瞬発力まで欠けることのない動力性能を確保、という方向性は一緒だが、先発から中継ぎにクローザーまで、全局面で似たタイプに投げさせている感覚が強い。

「リチャージ」は、プラグイン・ハイブリッド、フルEVで構成される。今回XC40にPHEVが設定され、ボルボが日本に導入する全ラインナップにPHEVモデルが設定されたことになる。
「リチャージ」は、プラグイン・ハイブリッド、フルEVで構成される。今回XC40にPHEVが設定され、ボルボが日本に導入する全ラインナップにPHEVモデルが設定されたことになる。    池之平昌信

まぁ元より国産PHEVは出先で急速充電すればいい、という考え方ではある。

逆にボルボは、電欠がありうるEVの方がPHEVより脆弱なため、急速充電の場と機会は譲るべしという立場だ。二次電池として家庭に給電する機能もない。

それは乗り手に急速充電の月々プランなど、新たな負担やタスクを課さない方策・方向性でもあるし、自動車社会で動力源の電化比率を高める(=CO2排出削減)方向に進む欧州では、少なくとも多機能すぎるよりも理解されやすい。

どちらが優れているとはいわないが、30分枠が終わった瞬間に急かしてくる「急速充電ポリス」的な殺伐感が、「充電コミュニティ」を歪ませている現状、急速充電インフラに拙速に大勢を誘導し過ぎるのもバランスが悪いのだろう。

つまり製品仕様にしてもハードウェアにしても、XC40リチャージには明確な戦略が感じられる。

これまで欧州Dセグ以上のクラスこそPHEVは増え続けていたが、売れ筋かつ生活アイテムであるCセグという車格だと、いっそEVの方が有利か、メーカーは悩むべきところでもある。実際、同セグ内のPHEVを見渡しても、モデル末期のVWゴルフGTEか、BMW 225 XE iアクティブツアラーとミニクロスオーバーPHEVぐらいしかないのだ。

記事に関わった人々

  • 南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。

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