【いったい誰が輸入している?】2016年に日本撤退したフォード車、いまも年間500台以上売れ続けるワケ

公開 : 2020.08.29 05:50  更新 : 2022.03.25 18:51

欧州車の新規登録台数が激減でも健闘

コロナ禍で輸入車市場が大きな打撃を受け、2020年上半期はメルセデス・ベンツアウディBMWなどのドイツ勢を中心に、前年同期比6〜8割と大幅に販売台数を減らす状況でも、フォードは前年のペースをほぼ維持している。

最新の統計となる2020年7月単月の登録台数を見てもそれは明らかだ。

JAIA(日本自動車輸入組合)から発表された2020年7月の新規登録台数(乗用車+トラック)の合計を見てみると、

フォード

53台(前年同月54台)
1〜7月累計295台

キャデラック

34台(同53台)
1〜7月累計 289台

シボレー

22台(同66台)
1〜7月累計 167台

ダッジ

25台(同41台)
1〜7月累計210台

他のアメリカ車ブランドが軒並み大幅に台数減となる中、フォードは7月も好調である。

※カウントされているのは新車以外に中古並行車も入っている。中古並行車も日本で登録される際にはすべて「新規登録」となる。

過去に撤退した輸入車(オペルサーブなど)がその後、日本でどのような道を歩むか?

在庫を売り切ったあとは数年以内にほぼどこも1桁となる。オペル、サーブ、KIAともに、2019年1年間に新規登録されたのは各1台のみだ。

ではなぜ、フォードは並行輸入という形でも売れ続けるのだろうか?

誰が輸入し、どんな業者がアフターフォローをおこなっているのだろうか?

今もフォードの看板掲げるディーラー

現在も「フォード〇〇」として営業する旧正規ディーラーの中の多くは「Authorized Parts & Service」と記されたフォードマークの看板を掲げて正規輸入車のメンテナンスをおこなっている。同時に並行輸入という形で新車のフォード車を販売、メンテナンスを行っている会社も少なくない。

フォード車を扱って102年(!)という老舗中の老舗、フォード日光社(京都)の石田昌孝社長に話を聞いた。

現在も「フォード〇〇」として営業する旧正規ディーラーの中の多くは「Authorized Parts & Service」と記されたフォードマークの看板を掲げて正規輸入車のメンテナンスをおこなっている。
現在も「フォード〇〇」として営業する旧正規ディーラーの中の多くは「Authorized Parts & Service」と記されたフォードマークの看板を掲げて正規輸入車のメンテナンスをおこなっている。    加藤博人

「戦前/戦後を通じて自動車が人々の生活に寄り添うようになった当時は『クルマ=アメリカ車』でした」

「日本人にはアメリカ車に対するDNA的なものが脈々と引き継がれているのではないかと考えています」

「また近年は国産メーカーもデザインやサイズなどアメリカ市場を意識したモデルが増え、自然と『アメ車』に対する違和感がなくなっていると思います」

「アメリカ車の中でもフォードは故障が少ない一方でハイパワーのマスタングなどはわざと『少しクルマが暴れる』ようにセッティングするなど、私たちにクルマの楽しみをあらためて味わわせてくれています。」

「並行輸入で入って来たフォード車の部品についても、本国にオーダーすれば、時間はかかっても(生産終了後かなりの年数が経っていなければ)入荷はできます」

「旧フォードディーラーのサービス体制次第かと思いますが、フォードの整備ができるメカニックの人的な維持ができれば問題ないでしょう」

フォードはマスタングやリンカーン、レンジャー、F150、エクスプローラー、そして欧州フォードのフォーカスやフィエスタなど、日本車では味わえない魅力的なクルマを多数ラインナップしている。

日本はこれらのクルマを並行輸入でも左ハンドルでも中古車でも自由に輸入販売ができる、世界的に見てもかなり稀で恵まれた市場だ。

100余年にわたってフォード車を扱ってきた経験と実績を持つ日光社を筆頭に、欧州フォード車の販売に多数の実績があるエフエルシーなどの会社がフォードオーナーを温かくサポートし、新型車の販売にも積極的であることはオーナーにとってはもちろん、フォードを扱う同業者にとっても心強い存在だと言えるだろう。

記事に関わった人々

  • 加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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