【見通しは不透明】イギリス新車販売 回復傾向も、合意なきEU離脱に不安 前年同期比20.8%減

公開 : 2020.09.10 12:10

イギリスの新車販売台数は、回復の兆しを見せているものの、依然として前年より低い数字に。経済の不確実性が、購買を抑制していると指摘されています。合意なきEU離脱を危惧する、業界の不安も広がっています。

イギリス自動車業界の今後

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)

英国自動車製造販売協会(SMMT)が明らかにした数字によると、業界は新型コロナウイルスによるシャットダウンから、ゆっくりと回復に向かっている。

新車販売台数は、5月が前年同月比94.5%減、6月が42.8%減だったのに対し、7月は20.8%減まで回復しているのだ。

アストン マーティン セントアサン工場
アストン マーティン セントアサン工場

しかし、生産台数も、昨年同月の10万8239台を大きく下回る8万5696台となっており、いまだパンデミックの影響を受けていることは明らかだ。

工場とディーラーはほとんど再開されているが、SMMTはソーシャルディスタンスの規定と、経済の不確実性が「購買意欲を抑制」していると述べている。

英国市場向けの生産は特に大きな打撃を受けており、7月の生産台数は1万3434台で、昨年比で37.1%減少している。

全体の80%を占める輸出は、16.8%減少し、7万2262台となっている。

年初からの新車の生産台数は39.7%減少していおり、SMMTは、パンデミックの結果、生産が30万7707台減少したと述べている。

SMMTの最高経営責任者であるマイク・ホーズは「主要なグローバル・マーケット、および英国の自動車工場は徐々に再開し、数字も過去3か月で大きく回復していますが、見通しは依然として不透明です」と述べている。

「景気後退と、世界的なパンデミックへの対応に追われている自動車業界には、イギリスのEUからの“合意なき離脱”による、さらなるショックに対処する時間も能力もありません」と語る。

「新しい関税が、自動車業界とそれをサポートする数十万人の生活に与える影響は、計り知れません」

「それを避けるため、包括的な自由貿易協定についての双方の合意を、2020年末までに取り付ける必要があります」と訴えた。

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