【マニュアル・トランスミッション搭載!?】新型フィアット500ハイブリッド、初公開

公開 : 2025.05.14 18:45  更新 : 2025.05.20 02:29

フィアット『500』のガソリンモデルが18年ぶりにフルモデルチェンジします。EVである『500e』のプラットフォームにエンジンを搭載したハイブリッドになる見込みで、マニュアル車の設定もあるようです。

待ち望んだモデルチェンジ

フィアットは、新型『500ハイブリッド』の画像を初公開。内装を一新し、6速マニュアル・トランスミッションを搭載することが明らかになった。

公開された量産前のプロトタイプの画像によると、外観は基本的に電動モデル『500e』と同じだが、ガソリンエンジンに必要な空気を取り込むためにフロントグリルが再設計されている点が異なる。

公開された画像では、新たにデザインされたフロントのインテークのみカバーで覆われている。
公開された画像では、新たにデザインされたフロントのインテークのみカバーで覆われている。    フィアット

インテリアには、大型で角ばった新しい収納スペースが追加され、シフトレバーは従来のガソリン500と同様にステアリングホイールの隣に高く配置されている。

フィアットは新型500ハイブリッドに搭載されるパワートレインについてまだ公式には明らかにしていないが、旧型の500やフィアット・パンダに搭載されていた1.0L 3気筒のマイルドハイブリッド『Firefly』エンジンが採用されるとみられている。

マニュアル・トランスミッションの採用により、ステランティス傘下の多くのモデルで使用されている1.2L 3気筒マイルドハイブリッド『PureTech』エンジン(6速デュアルクラッチAT専用)は除外されることになる。

500ハイブリッドの生産は、今年第4四半期にスタート予定。これは、以前フィアットが発表していた2026年初頭というタイムラインよりも前倒しされている。

EVの不振を受けた対応

この新しい500ハイブリッドは、EVの500eにガソリンエンジンを移植する形になっており、これは欧州の自動車業界において前例のないものだ。

この思い切った決断の背景には、2つの大きな課題があったという。

マニュアルのシフトノブが目立つインテリア。
マニュアルのシフトノブが目立つインテリア。    フィアット

1つ目は、電動500eおよびそのスポーツ仕様『アバルト500e』の販売低迷を受け、落ち込んだイタリア・ミラフィオーリ工場の生産量を増やす必要があったこと。販売不振の影響で、フィアットは昨年、同工場の生産をたびたび停止していた。

2つ目は、500シリーズの販売の大半を占めていた旧型ガソリンモデルの生産終了。17年にわたり販売されてきたこの旧モデルは、新たなEUのサイバーセキュリティ法規に適合できず、高額な再認証コストが問題となっていた。

フィアットのCEO、オリヴィエ・フランソワ氏はこれらの課題について認識しており、500ハイブリッドの投入は「ミラフィオーリ工場の生産性を確保するため」だと説明している。

さらに、EVの販売不振に対応して内燃機関モデルを新たに投入することについて、「フィアットブランドの使命の中心に “社会的意義” があることの証明です」とも語っている。

なお、フィアットは500eに対しても約1億ユーロ(約165億円)を追加投資し、新たなバッテリー技術に対応したプラットフォーム再設計を進めていく予定。これにより価格面での競争力向上を図る方針だ。

この動きから察すると、500e自体にも2026年頃に大幅なアップデートが行われる可能性が高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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