【純EVの悪路性能を追求】メルセデス・ベンツEQC 4×4² コンセプト 試作車へ試乗

公開 : 2020.10.22 10:20  更新 : 2021.04.27 07:06

2基の電気モーターが生み出す強力なトルク

フロント側のアプローチ・アングルは標準のEQCから11.2度増えて、31.8度。リア側のデパーチャー・アングルは、13.0度増しの33.0度。ホイールベース間のブレークオーバー・アングルは12.6度プラスの、24.2度を獲得している。

試乗したのは、オフロードコースへと生まれ変わった、元採石場。深い砂地や水たまり、泥炭路面や岩肌、急傾斜の斜面や障害物など、悪路には事欠かない。

メルセデス・ベンツEQC 4x4 2 コンセプト
メルセデス・ベンツEQC 4×4 2 コンセプト

レザー張りの内装を備える、純EVには似つかわしくない。だがそのギャップも、このクルマの魅力となる。

車高が持ち上げられ、乗り込むのは少し大変。でも一旦運転席に座ってしまえば、インテリアは見慣れた雰囲気。細部に至るまで、EQCと変わらず完成度も高い。クルマの四隅は掴みにくいが、視点が高く視界は良好だ。

電気自動車だから、EQC 4×4 2 コンセプトはほぼ無音でスタートする。速度が増し、徐々にタイヤが蹴り上げる砂や小石の音が大きくなる。

2基の電気モーターが生み出す強力なトルクが、どんな状況でも不足ない推進力を与えてくれる。危ないほど険しい悪路でも、力強く頼もしい。

ドライブ・モードは、7種類が選べる。今回は主に、最もエクストリームなオフロード・プラス・モードで走った。

エベルレのチームによって、スロットル・レスポンスの設定は書き換えられている。トラクションが不安定だったり、歩くようなスピードで走る状況にも対応できるように、より微妙な調整が可能にもなっている。

正確なステアリングと優れたトラクション

純EVということで、トランスミッションは固定レシオ。低速で斜面を登るような場面でも、とても滑らかに走る。ローレンジ・ギアは備わらない。

ステアリングの操舵感は軽いが、オフローダーとしては正確な部類。大きなタイヤとホイールを履くが、ブレーキは安心感が伴う効き。サスペンションのストロークは長く、スプリングが目一杯圧縮しても、タイヤがフェンダーに干渉することもない。

メルセデス・ベンツEQC 4x4 2 コンセプト
メルセデス・ベンツEQC 4×4 2 コンセプト

このEQC 4×4 2 コンセプトの強みの1つが、最小回転直径の小ささ。大型なオフローダーとしては異例の機敏さと、扱い安さを与えている。

Gクラスのように、ロックデフはない。そのかわりブレーキベースのESPシステムが備わる。素早く反応し、優れたトラクションを保持してくれる。

もちろん初めての試乗となったが、コース中の一番厳しい障害物も、難なくクリアできてしまった。スタックするような状況を探したが、ドライバーの少しの努力で、脱出できていた。

EQC 4×4 2 コンセプトの車重は未発表。ベースとなっているEQCが2495kgもあるから、多くの改造で、さらに重量級にはなっているはず。

純EVとして、航続距離は課題の1つ。標準のEQCでは416kmとうたわれているが、それよりは短くなるだろう。

メルセデス・ベンツEQC 4×4 2 コンセプトでは、あまり遠い冒険には出かけない方が良い。予備バッテリーを積んで途中で充電できれば、話は別だが。

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