【シンプルなオープン2シーター】 TVR Sシリーズ 英国版クラシック・ガイド 泣き所はシャシー 前編

公開 : 2020.11.15 07:20  更新 : 2021.02.17 17:44

英国ブラックプールを拠点とするスポーツカー・メーカーのTVR。新体制のもとで生まれたSシリーズは、優れた設計と信頼性で、クラシックとしての注目が高まっています。しかしシャシーのサビは泣き所。英国編集部が解説します。

もくじ

TVRとして成功を収めたSシリーズ
シャシーは全体的に錆びやすい
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英国で掘り出し物を発見

TVRとして成功を収めたSシリーズ

text:Malcom McKay(マルコム・マッケイ)
photo:James Mann(ジェームズ・マン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

  
1980年代に入り、英国のスポーツカー・メーカー、TVRの経営を引き継いだピーター・ウィラー。未来的だったくさび形デザインは時代を感じさせるものになり、従来TVRが得意としていた曲面的なボディの復活を考えた。

そこで登場したのがTVR Sシリーズ。1970年代の3000Sを彷彿とさせるスタイリングだが、ドアハンドル以外はすべてが新しかった。全長は長く、全幅も広く、真新しいボディが新設計のバックボーン・シャシーに載っていた。

TVR Sシリーズ(1987〜1994年/英国仕様)
TVR Sシリーズ(1987〜1994年/英国仕様)

パネル構成を簡略化し、製造コストを削減。ダッシュボードにパッド入りのビニールを用いるなど合理化を進め、競争力の高い価格が設定された。

V6エンジンを搭載したSシリーズは、1986年の英国自動車ショーで発表。話題を集め、量産用の成形型ができる前に、150台分の予約金がTVRへ振り込まれた。

2年後の1988年には、TVRの生産モデルの75%をSシリーズが奪取。その時までに515台を製造し、同社としては過去最も成功したモデルに成長していた。

当初機械式だったインジェクションは電子制御になり、グリフィスに搭載されたV8エンジンを載せるなど、メカニズムは年々アップデート。木パネルでダッシュボードを飾ることも可能になった。

1998ccのV8エンジンにスーパーチャージャーを載せ、ボンネットバルジの付いた仕様もイタリア向けに登場。大きく膨らんだボンネットは、後にすべてのV8 Sへ採用されている。

シャシーは全体的に錆びやすい

約30年前に登場した、クラシックなスタイリングのモダンなスポーツカー。ソフトトップの開閉は簡単で、爽快なオープンエア・ドライブが楽しめる。

すべてのSシリーズは、優れた性能を備える。特にローバー製のV8 Sが活発だが、フォード由来のV6エンジンもダルではない。

TVR Sシリーズ(1987〜1994年/英国仕様)
TVR Sシリーズ(1987〜1994年/英国仕様)

英国市場などでは、V8で正式に提供されたのは3.9Lのみ。しかし、278psを発生する4.3LのV8 Sも2台が作られ、以降、多くのSシリーズがアップグレードを受けている。

Sシリーズは比較的信頼性も高く、手を出しやすいクラシック・スポーツとして人気が高まりつつある。とはいえ、メンテナンスが施されてきた、シャシーの状態が良いものを選ぶことに越したことはない。

理想を求めるなら、メンテナンスが施され、整備記録も明確にわかり、近年はしっかり乗られてきたクルマが良い。ガレージ内で、週末のアイドリングだけではなく。

年式が新しいほど、価格もスペックも高くなる。V6エンジンモデルより、V8 Sの方が価値は高い。

パウダーコーティングが施されたシャシーは、塗膜が浮き上がり内部で腐食が進みやすい。一番先に錆びてくるのが、フロントタイヤの後ろ側に張り出す、アウトリガー部分。

シャシーは全体的に錆びる。サスペンションやシートベルトの固定部分が錆びて、壊れることもある。

中にはアウトリガーの下側だけをきれいにしていたり、グラスファイバーでサビを隠していることも。ボディがツヤツヤでも、購入前に下回りの重点的な確認は忘れずに。

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