【V8ターボ・サルーンに乗るなら今】BMW M5コンペティションに試乗 F90型小変更 後編

公開 : 2020.11.27 10:20

スーパーサルーン、BMW M5がフェイスリフト。スピードと安定性を高め、ドライバーズカーとしての訴求力を増しています。幅広い能力と秀でた動的性能は、並べるライバルがないとするほど、英国編集部は高く評価しています。

もくじ

スポーツカーにもグランドツアラーにもなる
しなやかさを増したサスペンション
スーパーサルーン最後のキラメキなのか
BMW M5コンペティション(英国仕様)のスペック

スポーツカーにもグランドツアラーにもなる

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMW M5は時として車重1t程度のスポーツカーのように機敏で振り回せるクルマにもなるし、スーパーカーのように疾走することもできる。それでいて、優れた高速安定性で、現実的な長距離移動での快適さも忘れていない。

多角的な側面は、それぞれで達成度が高い。BMW M5の伝統でもある。

BMW M5コンペティション(英国仕様)
BMW M5コンペティション(英国仕様)

例えばアルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオは、最もスーパーカーに近い高性能サルーンだと思う。だが、長距離を快適に過ごせるとは、明言しにくい。

M5コンペティションのエンジンとドライブトレイン周りには、手が加わっていない。それでも、白眉のポテンシャルに変わりはない。メルセデスAMGのE 63 Sの方がトルクでは上だが、英国や日本で、M5コンペティション以上欲しいと思うことは、ほぼないだろう。

4.4L V8ツインターボは、柔軟な中間トルクを備え、ペダルのわずかな操作に鋭く反応。アイドリングより少し上の2000rpmから、7200rpmのレッドラインまで、ターボ付きとは思えないほど軽快に回る。

8速ATは、マニュアル・モードを選んでいれば、シフトダウンを常時受け付けてくれる。ドライブ・モードによっては、過激さを感じるほど。もし穏やかな振る舞いをATに求めるなら、モード設定で変更すれば良い。調整の幅は、かなり大きい。

筆者が感じたマイナス点は、エンジンサウンドの聞かせ方。車内には合成サウンドが重なるが、粒が滑らかすぎて、自然には聞こえてこない。再現性も高いとはいえず、アクセル操作に対する変化も小さい。MのV8エンジンには、不十分だと思う。

しなやかさを増したサスペンション

サスペンションには、しっかり手が入っている。アダプティブ・ダンパーは一新され、標準装備に。BMW Mパフォーマンスのオプションだった、コイルオーバーの車高調整式キットが組み合わされる。車高は5mmから20mmまで、落とすことが可能だ。

Mコンパウンドと呼ばれる軽量ブレーキも標準装備になった。オプションのカーボンセラミック・ブレーキは金色のキャリパーが目印。23kgもバネ下重量を軽量化できる。

BMW M5コンペティション(英国仕様)
BMW M5コンペティション(英国仕様)

アダプティブ・ダンパーは、以前までやや尖っていた乗り心地の角を削り、マイルドになった印象を受けた。小さな入力に対する処理を改善させたとBMWは話していたが、納得できる。

従来のサスペンションは、一般道ではコンフォート・モード以外は選びたいと思わなかった。残りは滑らかなサーキット以外、適した場所はないほどだった。

フェイスリフト後はスポーツ・モードでも、一般道での落ち着きを増している。だいぶ良い。ただし、街なかを移動するなら、コンフォート・モードを選びたいところ。舗装の剥がれなどの入力は、相変わらず明確に車内へ届く場面がある。

大きな入力を受け流す、適度な柔軟性も備えている。滑らかな高速道路での乗り心地は、変わらず優れている。

M5コンペティションの、ピンと張り詰めた快活な操縦性は従来どおり。ネガティブキャンバーの付いたフロントタイヤが、路面の起伏やワダチに反応することも変わらない。

四輪駆動システムは、後輪駆動モードに切り替えたり、スタビリティ・コントロールをオフにする前でも、パワーをかけていくとリアタイヤを軸に旋回するような素振りをする。これもフェイスリフト前と同様だ。

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