ステアリング「ヨーク」が生むコクピット感 レクサスRZ 550e Fスポーツ(1) 2モーターで407psの新グレード 大幅改良の成果は?

公開 : 2026.05.21 18:05

大幅改良を受けたレクサスRZに、550e Fスポーツ登場。ステアリングヨークでF1マシンのように操れ、擬似的な変速も楽しめるものの、コンフォート志向は変わリません。UK編集部が評価します。

大アプデで追加された550e Fスポーツ

2023年に発売されたレクサスRZは、造り手側が期待したほどのインパクトを市場へ与えなかった。優れた走りは叶えていたものの、根幹の電動化技術に驚きは足りなかった。2025年に、ビッグアップデートを受けたのも当然だろう。

果たして、駆動用バッテリーは72.0kWhへ増量され、航続距離を伸延。車内の静寂性も高められた。550e Fスポーツという407psの新グレードが登場し、ステアリングホイールではなく、バイワイヤ制御のステアリング「ヨーク」も獲得している。

レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)
レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)

価格は、英国では350eが約4万8000ポンド(約1008万円)から。試乗した550e Fスポーツは、タクミ・グレードで約7万1000ポンド(約1491万円)へ上昇する。

プラットフォームは、トヨタbZ4Xと同じe-TNGA。ツインモーターの試乗車は、計測では車重2180kgと、該当クラスの電動SUVでは軽め。バッテリーの容量が控えめなこともあり、シングルモーターのポルシェ・マカン・エレクトリックより軽い。

横風の影響を抑えるフィンとスポイラー

エネルギー効率を高めるべく、デフォルトのレンジ・モード時は後輪駆動。前後のパワー配分を制御するダイレクト4 AWDシステムは見直され、インバーターやドライブトレインも内部抵抗が大幅に低減されたという。

航続距離は、20インチ・ホイールを履くRZ 550e Fスポーツで450km。パワーで劣る500eでは500km、前輪駆動の350eなら568kmが主張される。

レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)
レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)

ボディシェルはフロント周りが強化され、リアにはブレースが追加され、ねじり剛性を向上。サスペンションは、フロントのウイッシュボーンとブッシュが新しい。ステアリングラックのマウントや、ハブも改良を受けている。

ボディ後端には、小さなフィンや左右に別れたスポイラー。横風の影響を抑える気流を生成すると、レクサスは主張する。ホイールには樹脂製のキャップが被せられ、立体感を生み出すのと同時に空力も改善。ブレーキキャリパーは、ブルーで染められる。

ステアリングヨークが生むコクピット感

インテリアは、2023年の登場時と大きな違いはない。内装の質感は高く、造形は美しい。後席の足元が広いことも、強みのままだ。折角のスポーティ・グレード、Fスポーツには、もう少し華やかな演出が欲しいところだが。

バイワイヤ制御のステアリングは、現在の英国市場では今のところ唯一。ステアリングヨークはロックトゥロック1.2回転と、従来の「ホイール」の半分ほどしか回らないが、重み付けやレシオを自在に調整できるうえ、機敏な操舵を可能としている。

レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)
レクサスRZ 550e Fスポーツ(英国仕様)

膝周りの空間が広くなり、乗降性は確かに良い。メーター用モニターも見やすい。グリップ部分は自然に手に馴染み、人間工学的には優れたデザインといえる。ちなみに、テスラも同様のステアリングを市販化しているが、英国には導入されていない。

エアコンの送風口や、ドライバー側を向いたタッチモニター、アルミ製ペダルと相まって、運転席の「コクピット」感が巧みに創出されている。ウインカーのレバーはヨーク側から伸びており、回すと一緒に動くことへ慣れは必要かもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

レクサスRZ 550e Fスポーツの前後関係

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