【韓国製バッテリーが原因?】欧州CO2排出量規制 多額の罰金に直面したメーカー

公開 : 2020.12.01 18:25

さまざまな罰金回避方法

他のブランドは、さまざまな方法で目標を達成しようとしている。

フィアットクライスラー・オートモービルズは直近の決算発表で、2020年第3四半期も財務上の損失を明らかにしているが、これは新しいPHEVの展開と、米テスラに支払いをして自社の排出量をプールして罰金を回避するというコンプライアンス・コストが理由である。

BMW 330e
BMW 330e

フォルクスワーゲン・グループは、新型EVのID.3を発売したことで今年の目標達成が期待されていた。しかし、9月に予想外にも中国資本のMGとプールしたことを発表した。

「これは、フォルクスワーゲン・グループが実際には苦労していることを示唆している可能性があります。罰金の支払いを回避するために外部からの助けを必要としているのです」と、独立系アナリストのマティアス・シュミットは述べた。

一方、スズキは新型ジムニーが予想外の成功を収めたことで、苦戦を強いられていた。そのため、ジムニーはほとんどの市場で販売を中止し、規制の緩い2人乗りの商用バンとして再投入することで、罰金を回避するという解決策がとられた。

スズキはまた、トヨタとの提携を利用して、カローラベースのハイブリッド車スウェイスと、RAV4ベースのPHEVアクロスを発売した。

欧州では引き続き規制を強化

他のメーカーもそれほど心配はいらないようだ。ルノーはゾエEVの販売が好調で、余剰のCO2排出量を活用するため他社からのプールを受け入れる姿勢を示している。

環境保護団体トランスポート・アンド・エンバイロメント(T&E)の調査によると、今年上半期にゾエの販売だけでルノーの平均CO2排出量を15%削減したという。これは莫大な量である。

ルノー・ゾエ
ルノー・ゾエ

フランスの報道では、ルノーは目標達成を確信した今、ハイブリッドシステムのEテック搭載車の発売を延期し、他社のようなトラブルに直面しないようシステムの見直しを行っているという。

PSAグループも目標を達成するには十分だと報じられている。日産、トヨタ、マツダ、ヒュンダイ、キアも好調。ただし、メルセデス・ベンツのオーナーであるダイムラーは大きなリスクを負っていると考えられている。

来年は欧州でも英国でも、環境規制の面でさらに厳しい年になるだろう。英国は1月にEUのシステムから離脱したにもかかわらず、そのルールをほぼ完全にコピーしている。

JLRは直近の財務報告書の中で、2021年に英国で最大1000万ポンド(約13億9000万円)の罰金が予想されると述べている。

多額の罰金を回避するためのCO2排出量削減競争において、成功したメーカーもあれば失敗したメーカーもある。今年、欧州全域でのEV販売台数は100万台を超え、昨年の2倍になると予想されている。

T&Eは最近のレポートで次のように述べている。

「欧州では、2020年はEVの年として多くの人が待ち望んでいました。そして、パンデミックの影響で影が薄くなっていますが、PHEVも期待を裏切っていません」

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