【あれ、そういえば】マツダのミニバン「MPV」なぜなくなった? 後継は本当にない? 期待は第8世代か

公開 : 2021.01.01 11:25  更新 : 2021.10.11 09:40

ディーゼルミニバンがあれば売れる

販売店からの要望というのは、単に「MPVを止めないで欲しい」ではなく、「スカイアクティブ技術を搭載したミニバンを造って欲しい」という気持ちが強かった。

実際、全国各地のマツダ販売店関係者と直接話をすると「三菱デリカD:5があれだけの定着した人気があるのだから、スカイアクティブD搭載でスライドドア式ミニバンがあれば、我々として絶対に売る自信がある」という声を各地で聞いた。

三菱デリカD:5
三菱デリカD:5    三菱

だが、広島本社では前述のように、トヨタ日産ホンダなど主力メーカー・販売店のミニバン開発力と販売力と真っ向勝負するのは、マツダとして得策ではない、という考えが優先した。

また、商用的な発想以外で乗用ミニバンは事実上、日本専用車であり、マツダの世界戦略の中では合致しないという考えも強かったように思う。

結局、MPVがけん引してきたマツダミニバンは、マツダ第7世代の幕開けとなった2017年の前に消滅し、その後の商品企画案から姿を消したように思えた。

筆者としても、すっかりMPV後継のことが頭から離れていたのだが……。

あるきっかけで
「これならば、いけるのでは?いまこそ、MPV後継が欲しい」と思う瞬間に出会った。

それはCX-5の商品改良である。

マツダ第8世代への「淡い期待」

2020年末、マツダR&D横浜(横浜市神奈川区)を起点として行われた、CX-5の商品改良車の試乗会。

用意されたのは、全車がスカイアクティブD。最高出力は190psから200psへ上がり、またトルク特性もより扱いやすい方向となった。

マツダCX-5(2020年)。クルマ全体の一体感が一気に増していると筆者。
マツダCX-5(2020年)。クルマ全体の一体感が一気に増していると筆者。    上野和秀

アクセルペダルのセッティングなど、人中心の細かい変更が、クルマ全体の動きを大きく変えたことに驚いた。

とにかく、クルマ全体の一体感が一気に増しているのだ。

それを、新旧AWD車を乗り比べて、極めて強く感じた。そして思った。この乗り味/走り味ならば「多人数乗車のAWDミニバンにベストマッチするのでは?」と……。

ただし、現実的には現行プラットフォームでの採用は不可能だろう。

なぜならば、マツダがラージ商品群と呼ぶマツダ6、CX-5/CX-8は2022年以降にプラットフォームが刷新されるからだ。

現行のFFから、FRになることが確実視されている。

駆動方式は変わっても、それまでに積み上げていくマツダの開発技術力によって、FRで走行性能が高いミニバン、いやMPVが生まれてくるはずだ。

そうした次世代ラージ商品群、つまりマツダ第8世代ラインナップの中で、スカイアクティブDのみならず、導入が決定していることをマツダ幹部も決算会見で認めたPHEV(プラグインハイブリッド車)を搭載する次世代MPVの登場を、大いに期待したい。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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