【86/BRZ、別々の道か】トヨタとスバル、ハイブリッドで成立する? しない? EV化は確率低く

公開 : 2020.12.31 09:45  更新 : 2021.01.28 18:11

世界市場の中で明確な競合車はいない

「もっとFRっぽい走り味が欲しい」

量産車にかなり近い状態の量産試作車をトヨタ幹部が試乗した際、そういったリクエストがスバル側にあった。

トヨタ86発表前、量産車にかなり近い状態の量産試作車をトヨタ幹部が試乗した際に「もっとFRっぽい走り味が欲しい」というリクエストがスバル側にあったという。
トヨタ86発表前、量産車にかなり近い状態の量産試作車をトヨタ幹部が試乗した際に「もっとFRっぽい走り味が欲しい」というリクエストがスバル側にあったという。    トヨタ

具体的に言えば、リアの動きが安定し過ぎているため、もっと振り回して楽しめるクルマにしてほしい、ということだ。

こうして量産されたBRZと86。その後、それぞれのモデルで走りがリファインされ、それぞれが走りの楽しいFRに仕上がったと思う。

その上で、2012年当時のスバル側との議論を思い出すと、あの時点でもし車体の許容範囲が大きければ、より排気量の大きなパワーユニットの搭載もあり得たかもしれない。

2代目が、2.4Lを十分に許容できる車体の剛性と、サスペンションセッティングとなったことで、改めて思うのは、そもそもBRZと86を、欧州車のイメージが色濃いライトウエイトスポーツではなく、スモールFRというカテゴリーで論じるべきクルマだという点だ。

つまり、世界市場の中で明確な競合車はいないと思う。過去の日本車では、マツダRX-7のような立ち位置なのかもしれない。

ロータリーと水平対向型という特徴的なエンジンという点で、RX-7とBRZ/86は市場性で共通点を感じる。

アメリカでのファンミーティングの現場の雰囲気も、なんとなく似ている。

BRZ/86は、良い意味で孤立した存在だといえる。

では、BRZ/86の電動化についてはどうか?

86の将来 ハイブリッド化が射程内?

BRZ/86の電動化についてはどうか?

車格と販売台数から考えて、2代目のライフサイクルである2020年代に、2.4L NAとハイブリッド車などの電動ユニットが併存することは考えにくい。

新型BRZ/86前にAUTOCAR英国編集部が発表した予想イラスト。
新型BRZ/86前にAUTOCAR英国編集部が発表した予想イラスト。    AUTOCAR

だが、2030年代に登場する3代目は当然、電動化されるだろう。

主力市場であるアメリカで、カリフォルニア州が2035年に内燃機関(ガソリン車・ディーゼル車)の新車販売禁止を打ち出しており、また日本でも「遅くとも2030年代中頃」にカリフォルニア州と同様の規制を実施することが明らかになったばかりである。

2代目発売前から3代目の予測では、真実味が欠けるかもしれないが……。

3代目BRZ/86が登場することには、FRスポーツカーではマイルドハイブリッドではなく、EVモードが長いストロングハイブリッドが当たり前になっているかもしれない。

また、EVについて、トヨタとスバルは量産型クロスオーバーSUVを2021年前半に公開する予定だが、それから10年ほどでBRZ/86がEV化することは、現時点では考えにくい。

ただし、前述のように初代BRZ/86の生い立ちを考えてみると、3代目でEV化の可能性はゼロではないように思える。

BRZ/86は単なるライトウエイトスポーツではないとの認識が高いクルマゆえに、低重心と運動性能が高さを強調するクルマとして、EVとの相性が意外と良いのかもしれない。

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