【最上級のGLS】メルセデス・マイバッハGLS 600 4マティックへ試乗 4.0L V8+ISG

公開 : 2021.01.13 10:25

必要以上のパワフルさと卓越した洗練性

メルセデス・ベンツの努力によって、アメリカ生まれの大型SUVは、ラグジュアリーでトラディショナルなリムジンへと生まれ変わった。確かにマイバッハ級ではある。だが、通常のGLSとの相関性も残っている。

GLS 600が搭載するマイルド・ハイブリッドは至って滑らかで、6200rpmのレッドラインまで軽快に吹け上がる。車重は2785kgもあるものの、0-100km/h加速は4.9秒がうたわれており、必要ないほどのパワーを放出する。

メルセデス・マイバッハGLS 600ファーストクラス 4マティック(北米仕様)
メルセデス・マイバッハGLS 600ファーストクラス 4マティック(北米仕様)

パワーデリバリーは即時的。しかも、とてもリニアに反応する。

9速ATは、パワフルなガソリンエンジンと電気モーターのトルクを融合。速度域を問わず、スムーズにボディを進める。センターコンソールのトグルスイッチで、ドライブモードの選択が可能。スポーツ・モードを選択しても、常に最高の快適さに浸っていられる。

エグゾーストノートは、意外にも車内で聞こえてくる。近年のマイバッハ・サルーンほどは、抑え込まれていない。

全体的な洗練性は、卓越した水準にある。エンジンの振動は完全に遮断され、大きなサイドミラーが生む風切り音も、ほとんど聞こえてこない。サイドウインドウは、ダブルガラスだ。

試乗車のサスペンションは最上級仕様で、3チャンバー式のエアサスペンションを備えていた。コーナーではボディを持ち上げてロールを打ち消し、知的な四輪駆動システムと組み合わせることで、ハンドリングも向上させている。

可変式のステアリングは軽く、フィードバックは希薄。それでも反応は正確で滑らかだ。

溢れる個性やユニークさを期待したい

急な進路変更を与えても、ドライブ・モードに合わせて、サスペンションは確実に姿勢を制御。高次元のグリップ力でパワーを受け止め、コーナーを確実に抜けていく。

さらにシャシーを引き締めていくと、マイバッハはコーナーの内側へボディを傾斜。大きなボディと高い重心高を備えていながら、ワインディングでも感心するほど流暢な感覚が味わえる。

メルセデス・マイバッハGLS 600ファーストクラス 4マティック(北米仕様)
メルセデス・マイバッハGLS 600ファーストクラス 4マティック(北米仕様)

GLS 600はスポーツカーではない。だが、優れたコーナリングスピードには感心させられてしまった。

さらに特筆すべき部分が、乗り心地の良さ。22インチの大径ホイールを履いていながら、大きな入力を見事になだめる衝撃吸収性と、しなやかな姿勢制御とを両立させている。

すべてが高次元でまとめられ、メルセデス・ベンツのフラッグシップSUVへ、ずば抜けたクルージング品質を与えている。類を見ない落ち着きで、通常のGLSでは味わえない至福の移動時間を提供してくれるだろう。

一級の動的性能と、車重やサイズを感じさない操縦性、突出した乗り心地を実現したマイバッハGLS 600。極めて豪奢なインテリアは、万人がテイストを好むわけではないかもしれないが、圧倒的な居心地の良さは備えている。

反面、最善の努力が施されていても、標準のGLSとの差別化は充分とはいえないだろう。マイバッハ独自のモデルとは、感じにくいことは確かだ。

英国での価格は、16万7735ポンド(2348万円)からと、標準のGLS 400dより9万ポンド(1260万円)も高い。カリナンベンテイガ級の、溢れる個性やユニークさを期待しても無理はないと思う。

メルセデス・マイバッハGLS 600ファーストクラス 4マティック(北米仕様)のスペック

価格:16万7735ポンド(2348万円)
全長:5205mm
全幅:2030mm
全高:1838mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:7.6km/L
CO2排出量:304g/km
車両重量:2785kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツイン・ターボチャージャー+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:556ps/5500rpm
最大トルク:74.2kg-m/1200rpm
ギアボックス:9速オートマティック

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