【レクサスSUVの中核】V6ハイブリッド四駆で選ぶなら、レクサスRX450hか? RX450hLか?

公開 : 2021.01.07 11:45  更新 : 2021.12.27 23:46

RX450h アクセルを踏み込む

ラフなペダルワークでもスナッチングに類するような挙動や加速の揺らぎがなく、全域で滑らかなコントロール性を維持。

内燃機/機械式変速機とは違ったハイブリッドならではの洗練されたドライバビリティである。

レクサスRX450h FスポーツAWD
レクサスRX450h FスポーツAWD    前田恵介

全開時の加速力は4L超級相応。

2tを超える車重を物ともしない俊足振りだが、エンジン回転の上昇が先行するためか、体感的には少々伸びやかさに欠いている。電気式CVTと称するのも理解できる。

ちなみに、エンジン回転数を擬似的にステップ変速様に制御するシーケンシャル・シフトを用いれば、Fスポーツに似合いの小気味よいスポーツドライビングも楽しめる。

RX450hは、走行状況およびナビの地図データと連動して電子制御ダンパーの減衰力を調整するナビAI-AVSを、標準仕様以外に搭載。

Fスポーツ専用装備として車体骨格の振動減衰と剛性を強化するパフォーマンスダンパー(前後)と最適なロール剛性に制御する電動アクティブスタビライザーを装着する。

いずれの装備も操安性と乗り心地の両立点を高めるのが興味深い。RX450h Fスポーツがスポーツ性に偏向したモデルでないことが、採用メカニズムからも読み取れる。

Fスポーツの魅力は?

先鋭的なスポーツ性をアピールしていた時期の設計の名残か、車軸まわりの振動などで多少洗練に欠く部分もあるのだが、車体サイズと重量を感じさせる重質な乗り心地はRXの最上級クラスのモデルに相応。

RX450h Fスポーツのキャラを考えるなら、洗練感についても不似合いな印象はない。

レクサスRX450h FスポーツAWD
レクサスRX450h FスポーツAWD    前田恵介

最上級クラスの高性能SUVを駆る自負心を満足させるには十分だ。

ハンドリングは高速コーナリングで不安感を覚える挙動を排除し、操舵に穏やかに追従するラインコントロール性が特徴。

多少腰高な印象もあるが、ツーリング&スポーティのセオリーに則った特性。

この「意のまま」感を高負荷域側に拡大しているのが、Fスポーツらしさである。

付け加えるなら、Eフォーを利した駆動力配分の効果もあって、大きな横Gを受けた状態での加減速による姿勢やラインの乱れも少ない。乗り心地と逆にサイズと重量を感じさせない操安性である。

RX450hLとの価格差はわずか

快適性とファントゥドライブの両立は、プレミアムクラスの高性能モデルの良識。

一昔前はスポーツ性の尖り具合を競っていた時期もあったが、主流となるプレミアム系車種は「良識」でまとまっている。

3列6人乗り仕様のレクサスRX450hLの3列目シート
3列6人乗り仕様のレクサスRX450hLの3列目シート    前田恵介

RX450h FスポーツAWDも例外ではない。

また、スポーツ性や走りの質感で、コンペティターに対して突出した部分もないのだが、これだけの性能をして省燃費という点では唯一無二の存在。

一桁燃費が当たり前のクラスで、RX450hのWLTC市街地モードは11.4km/L、高速道路モードなら16.2km/Lなのだ。

快適性/ファントゥドライブ/エコ性能の3点を合わせれば、上級プレミアムSUVで最も優れたモデルである。

ただ、RX450h Fスポーツがイチオシかというと悩ましいところ。

内外装のプレミアム感ではロングキャビン仕様の「RX450hL」に分があり、RX450h FスポーツAWDとの価格差は13万円でしかない。

プロポーションそのものが変わっているので、外観のアピール効果はRX450h Fスポーツよりも上。プレミアムとファントゥドライブのどちらに軸脚を置くかが選択の要点だが、いずれにしても両モデルの比較検討は必須である。

記事に関わった人々

  • 執筆

    川島茂夫

    Shigeo Kawashima

    1956年生まれ。子どものころから航空機を筆頭とした乗り物や機械好き。プラモデルからエンジン模型飛行機へと進み、その延長でスロットレーシングを軸にした交友関係から自動車専門誌業界へ。寄稿していた編集部の勧めもあって大学卒業と同時に自動車評論家として自立。「機械の中に刻み込まれたメッセージの解読こそ自動車評論の醍醐味だ!」と思っている。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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