最近のレクサスってどうですか?LBXとRX編【日本版編集長コラム#44】

公開 : 2025.08.24 11:45

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第44回は、1ヵ月ほどかけて5台を一気乗りしたレクサスの話、その続きです。

まだこんなクルマがあったのか……!

ご縁あってレクサスの現行モデル5台を、約1ヵ月で一気乗りした話。前回レポートしたLS500hに続いて乗ったのは、『レクサスLBXモリゾーRR』である。

LBXに関しては新車デビュー時も取材できていないので、ホームページやプレスリリースに書いてある以上の情報は持っておらず、どんなクルマなのかイマイチ想像ができないまま乗り始めた。

2台目に試乗した『レクサスLBXモリゾーRR』。トランスミッションは6速iMT。
2台目に試乗した『レクサスLBXモリゾーRR』。トランスミッションは6速iMT。    平井大介

試乗ルートは都内で引き取り、別の取材があった栃木県までの往復となったわけだが、前半の段階で「まだこんなクルマがあったのか……!」と驚いた。『こんな』と書いた心は、まず『モリゾーRR』が非電動化モデルであること、そして6速マニュアルであることだ。

避けることが難しい世界的な電動化の中で、まだまだ走りを純粋に楽しむスポーツカーが多い日本車勢であるが、いかにも売れそうなコンパクトSUVにもこんなホットなモデルがラインナップされているなんて、という驚きだ。

エンジンは1.6Lの直列3気筒ターボで、何と304ps/400Nmものスペックを誇る。エンジン型式は『G16E-GTS』で、GRヤリスにも搭載されているものだ。

ただし、GRヤリスが全長3995mm、全幅1805mm、全高1455mm、ホイールベース2560mm、車重1280kg(RZ/6速MT)の3ドアであるのに対し、LBXモリゾーRRは全長4190mm、全幅1840mm、全高1535mm、ホイールベース2580mm、車重1450kgの5ドア。ひと回り大きいどころか、ひとクラス上のサイズ感だ。

しかしそれはあくまで比較の話で、実際に乗っていると非常にコンパクトに感じ、街中での取り回しもよかった。

ひとことで書けば、とにかく速い

高速道路に乗り入れ速度域があがると、モリゾーRRは真価を発揮し始めた。ひとことで書けば『速い』。とにかく『速い』のである。

正確には『速く走りたくなる』と書く方が自分の感覚に近い。ターボはヒュンヒュンと軽やかに回り、ブースト計の動きは忙しなく、どことなく聞こえてくるタービン音が耳に届くたびに、ターボ好きの筆者としてはときめきが止まらなくなってくる。

ブースト計がせわしく動くのを見て、ターボ好きの筆者はときめきが止まらない。
ブースト計がせわしく動くのを見て、ターボ好きの筆者はときめきが止まらない。    平井大介

トランスミッションは『6速iMT』と呼ばれるブリッピング機能が付いたもので、これがまた優秀。エキゾーストノートは野太くレーシーだ。それら全ては昭和の時代からスポーツカー好きたちが愛してきたテイストの延長にあり、ある意味『旧い』とも言えるが、それは褒め言葉として使いたい。

レクサスらしいと思ったのは、全幅が1840mmの4WDであることから、速さの中にもちゃんと安定感があることだ。ステアリングがクイック気味で、慣れるまでは正直怖さもあったが、最終的には真剣に曲がっているコーナリングの途中でも、いつも以上に周囲を見渡す余裕を感じさせるほどになった。

気になったのは、室内から開けるときに2回引く必要がある電子式のドアノブに最後まで慣れなかったのと、ステアリングのタッチパッドが使いにくいといったLBX自体の話。車両価格は650万円と高価だが、レクサスのブランド力と性能を考えれば、対価としては妥当にも感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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