BMW X5と悩める総合力 レクサスRX 長期テスト(最終) 20年前との確かな違いとは?

公開 : 2025.08.21 19:05

初代は世界初の高級クロスオーバーだと主張されるRX プラグインHV登場で欧州でも支持率上昇の5代目 日常性と快適性、高効率のバランスは? フラッグシップとしての実力を長期テストで探る

積算7811km 4気筒でも309psのプラグインHV

もう20年も前のこと。AUTOCARの取材で、2代目レクサスRXへ試乗した。アメリカでの売れ行きは盛況だったが、英国ではまだニッチなブランドのニッチなモデルに過ぎなかった。しかし、代を重ね状況は変わってきた。

5代目RXは、トヨタRAV4とパワートレインを共有。これまでの強みの1つが、スムーズな3.5L V6エンジンだったが、現行の450+hには2.5L 4気筒が載っている。

レクサスRX 450h+ Fスポーツ・デザイン(英国仕様)
レクサスRX 450h+ Fスポーツ・デザイン(英国仕様)

とはいえ、プラグイン・ハイブリッドとして駆動用モーターを組み合わせ、総合309psを得ている。普段使いの限り、充分に力強い。特に電気モーターは初動から頼もしく、低速域でも小気味よく先を急げる。EVモード時は、走行中の車内は静寂に包まれる。

他方、駆動用バッテリーの充電量が乏しくなると、トルクが頼りなく思えることも事実。2.5Lエンジンは、23.0kg-mしか発揮しないのだ。とはいえ、レクサスはハイブリッドで豊かな経験を有する。追い越し加速で、ヤキモキすることはほぼない。

所有の喜びへ結びつくインテリアデザイン

EVではないが、電費は悪くない。暖かい季節なら4.0km/kWhで、寒くても3.7km/kWh程度。フル充電で67km近くガソリンを燃やさず走れ、殆どの方の通勤を賄えるはず。

低域ではモーターが主役だが、高速道路の速度域ではエンジンへバトンタッチ。快適な巡航を叶えている。ステアリングホイールは滑らかで、適度に重い。姿勢制御も好ましく、意外なほど速くカーブの連続する区間を駆け抜けられる。

レクサスRX 450h+ Fスポーツ・デザイン(英国仕様)
レクサスRX 450h+ Fスポーツ・デザイン(英国仕様)

それでも、敏捷なわけではない。スポーツ・モードを選ぶと活発に変化するが、スポーツSUVとは違うだろう。ガソリンタンクは55Lと、ボディサイズの割に大きくない。

他方、家族や沢山の荷物との長距離移動は得意分野。洗練された内装と直感的な操作系、座り心地の良いシート、広い荷室など、優秀なインテリアデザインの恩恵に預かれる。製造品質の高さは、所有する喜びにも結びつく。

20年前とは状況が違うレクサスの総合力

制限速度警告とドライバー監視機能の警報音は、初めはおせっかいに思えた。しかし、前者をオフにして走行中、お恥ずかしながらスピード違反で捕まってしまった。後者は、従来より運転へ集中しているのか、鳴らなくなったようだ。

指摘するなら、ドアはラバーシールが肉厚で閉まりにくい。電動のドアハンドルは、少し扱いにくくもある。とある読者のようにドアが開かなくなり、1時間も閉じ込められるような不具合とは無縁だったが。ヘッドライトは、もう少し明るくても良いだろう。

レクサスRX 450h+ Fスポーツ・デザイン(英国仕様)
レクサスRX 450h+ Fスポーツ・デザイン(英国仕様)

2003年当時、高級SUVを検討するなら、BMW X5の1人勝ちといってよかった。それから22年後、長期テストの締めくくりとして、改めて最新のX5と乗り比べてみた。果たして、BMWがこのクラスでのベンチマークであることに変わりはなさそうだ。

それでも、レクサスはモノとしての質感がより高く、エネルギー効率でも勝る。総合的なコストパフォーマンスも優れる。2025年に検討するなら、RXへ強く惹かれるであろうことは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アラステア・クレメンツ

    Alastair Clements

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト レクサスRXの前後関係

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