【MGとして英国へ上陸?】ロエベR ER6へ試乗 上質な車内 中国振興メーカーの純EV

公開 : 2021.01.16 10:25  更新 : 2021.05.18 16:20

中国の振興自動車メーカーの1つ、ロエベが生産する純EVサルーンへ試乗。英国へ導入予定の、純EV版MG 6のベースとなる可能性が高いモデルです。魅力的な価格設定がされれば、充分な訴求力はあると英国編集部は評価します。

英国MGと兄弟関係にあるロエベ

text:Mark Andrews(マーク・アンドリュース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ロエベという名前は、日本では聞き慣れないものだと思うが、中国の振興自動車メーカーの1つ。MGモーターの親会社、SAICが中国で展開するブランドだ。

英国では純EVとしてMG 5 SW EVが町中を走っているが、実のところはロエベ製モデルの双子。エンブレムを付け替えた程度の違いでしかない。

ロエベR ER6(中国仕様)
ロエベR ER6(中国仕様)

ロエベは、純EVやプラグイン・ハイブリッド(PHEV)で大きな成功を収めている。SAICは次に、新しくRというブランドを立ち上げ、より高級志向の純EVを展開しようと考えている。

今回試乗したR ER6は、2017年に発売が始まったエンジン版のロエベi6や、PHEVのei6をベースとしている。しかしR ER6は純EV。見た目も大きく異なり、マイナーチェンジ版と呼ぶのはふさわしくないだろう。

R ER6は、専用の純EV用プラットフォームが基礎構造だとロエベは説明する。しかしホイールベースなどは、i6と同じではある。

ボディを眺めると、フロントやリアにシンプルなRというロゴが入っている。手元のキーにも。だがドアを開けて車内を見ると、ステアリングホイールやスピーカーカバーには、ロエベのロゴが残されている。

ロエベi6は質素なセダンだったが、R ER6では傾斜したボンネットが与えられ、プロポーションはシャープな印象。純EVということでフロントグリルはない。

滑らかなフロント周りと、空力に配慮されたアルミホイールのおかげで、空気抵抗を表すCd値は0.24と優秀。現行のトヨタプリウスに並ぶ数字となる。サイドビューは、ロエベi6の雰囲気を強く残す。

上質な設えのインテリア

インテリアはロエベi6よりはるかに上質で、SAICが展開するモデルでも最高のものだろう。バニティミラーを開くと、天井が照らされる間接照明が備わるなど、細かいところにも気が配られている。

ドアパネルなどは、ソフト加工されたプラスティックが多く好印象。明るいグレーとブラシ仕上げのシルバー、薄いブルーのカラーコーディネートで、雰囲気は従来のロエベとは一線を画す。

ロエベR ER6(中国仕様)
ロエベR ER6(中国仕様)

高くそびえるセンターコンソールはダッシュボードに融合し、中央に14.3インチという大きなインフォテインメント用モニターが鎮座。うっすらと画面は湾曲している。

音声認識機能も搭載するが、エアコンやサンシェードなど、多くの機能はモニターを介して行う。モニターの下にはいくつかのボタンが残され、操作はしやすいように感じた。

運転席は電動で位置調整が可能だが、着座位置は高め。背の高いドライバーは、快適な運転姿勢が取りにくいかもしれない。

R ER6の特徴ともいえるのが、3平方メートルもある大きなグラスルーフ。なだらかにトランクリッドに向けて傾斜していくから、リアシートの人は開放的な景色を楽しめる。一方でリアシートの頭上空間は限定的。足元も広いわけではない。

フロアはフラットだから、リアシートに3名が並んでも足の置き場には困らない。ただし中央にはヘッドレストがなく、シート形状のせいもあって、実際に座っていられるのは短時間だろう。荷室空間は広く、大きなスーツケースでも問題なく積める。

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