【詳細データテスト】マクラーレンGT 融通の効くパワートレイン 鋭いハンドリング 遮音性が最大の弱点

公開 : 2021.02.06 20:25

内装 ★★★★★★★☆☆☆

車高の低い、ミドシップのマクラーレンに乗り込もうとしたら、多少の不便は避けられない。それはメーカーとしても承知していて、なんとかそれを軽減させようとベストを尽くした。毎日とはいわないまでも定期的に使うとすれば、じきにその仕事ぶりが悪くないことに気づくはずだ。

前方のヒンジで斜め上へ跳ね上げるディヘドラルドアは、このクルマとしては可能な限り軽く作られ、扱いやすい。これ以前にもマクラーレンに乗ったことがあれば、違いがわかるだろう。

マクラーレンのほかのモデルならカーボンを使うスイッチやトリムに、GTは切削加工アルミを用いている。もっとも目立つのは、ステアリングホイールとシフトパドルだ。
マクラーレンのほかのモデルならカーボンを使うスイッチやトリムに、GTは切削加工アルミを用いている。もっとも目立つのは、ステアリングホイールとシフトパドルだ。    OLGUN KORDAL

ただし、ドアオープナーのフラップを探すのはややてこずり、手探りすることになる。マクラーレンはよほど、ドアハンドルを人目に晒すのがいやなのだとみえる。

幅広いシルをまたぎ、内寄りに設置されたシートへ身体を滑り込ませる。そのプロセスはそれほどぎこちなくなるものでも、肉体的に無理を強いられるものでもない。しかし、GTカーとして自然だといえるものでないのもたしかである。

座ってすぐに気づくのは、マクラーレンがいつもなら飾り気のないキャビンの雰囲気を、このクルマではリッチに仕立てようとした努力の跡だ。

ステアリングホイールには切削加工したアルミでトリムが施され、輝きが際立つ。その奥にのぞくシフトパドルも同じで、通常はカーボンかプラスティックを使うところが一体成型の金属製となり、手触りはうれしいくらいシャープでクールだ。

いっぽう、トランスミッションの操作ボタンやパワーウインドウのスイッチは金属調で、メタルパーツほど納得のいく仕上がりではない。その結果、全体を見回すとマテリアルの高級感に一貫しないものを感じてしまう。

もしもマクラーレンが、ベントレーポルシェ、はたまたメルセデスAMGのテリトリーに割って入ろうというなら、まだまだ道半ばといったところだ。先は長い。

運転席のシートそのものは柔らかく快適だが、マクラーレンのほかのモデルより5cmほど着座位置が高く、その分ひじやひざの置き場も高くなり、適切なサポートが不足してしまう。

頭上にゆとりがないのはマクラーレンの常で、フロントウインドウの上辺が視線のそばまで迫り、背の高いドライバーは前方視界が妨げられる。長距離を走るなら、これは快適さのレベルを大きく左右する要素となる。だが、それ以外の方向の視認性は良好だ。

積載キャパシティは、出来のいいフロントエンジン車やリアエンジン車に匹敵するほどではないが、ミドシップとしては上々だ。純然たる2シーターキャビンの後方には、浅く開けたラゲッジスペースがエンジンルームの上を縦断する。それを覆うのが、長さのあるガラスのテールゲートだ。

ゴルフバッグやスキー板のような長尺物が驚くほど楽に積み込めて、その脇にはソフトなバッグくらいは詰め込めるスペースもある。しかも、フロントには150Lのトランクも設置され、室内にも多少ながら収納スペースが用意されている。

とはいえ、大きなスーツケースひとつ、もしくは小さめのものをふたつ積むのは苦労するだろう。助手席に連れを乗せて旅行するのであれば、荷物は小さくまとめることが必要だ。

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