【詳細データテスト】マクラーレンGT 融通の効くパワートレイン 鋭いハンドリング 遮音性が最大の弱点

公開 : 2021.02.06 20:25

結論 ★★★★★★★☆☆☆

マクラーレンGTの狙いは、現代のスポーティなGTの姿を書き換えることだ。さもなければシンプルに、カーボンシャシーのミドシップ車を、もっと背が高くて重く、内装が飾り付けられた室内を備えた、普通のクルマのように仕立てられるかやってみせることだともいえる。

そうした試みは、成功したのか。部分的には、というのがわれわれの答えだ。

結論:速さやピュアな走りはかなりのものだが、GTの名が期待させる使い勝手や洗練性は物足りない。
結論:速さやピュアな走りはかなりのものだが、GTの名が期待させる使い勝手や洗練性は物足りない。    OLGUN KORDAL

ドライバーズカーとしては、文句なしによくできている。パフォーマンスも、キレのいいハンドリングも、純粋な運動性の質も、ロングドライブを狙った高級なモデルのそれより上だ。

しかし、長距離を走り、裕福なひとびとを目的地まで快適かつ穏やかに運び、彼らのひとも羨むようなライフスタイルにふさわしいツールとしてどうかと考えれば、及第点といったところ。おそらく、十分に満足できるものではない。

ドライバビリティや実用性、マテリアルの高級感は、いつものマクラーレン製ミドシップカーの水準を上回っている。それでも、昔ながらのフロントエンジンレイアウトを採る2+2GTクーペに対すれば、真に説得力があり、同等の使い勝手を持つオルタナティブにはなれない。

このGTが示したのは、マクラーレンが本当にその守備範囲を広げて顧客を増やすには、まず技術面のレパートリーを増やさなければならないということだ。そこに近道はない。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

GTの洗練されたスタイリングは、みているほどに気に入ってくる。そして走らせるのが楽しい。しかし、このクルマに720Sとは違う使い道を見出せる自信はなく、しかも720Sのほうが楽しめると思う。720Sのほうが、やや洗練性に欠け、不便だとは思うが。

サイモン・デイヴィス

このクルマに乗って、フェラーリテスタロッサを思い浮かべずにいられなかった。あれはより大きなエンジンを積むミドシップのスーパーカーだが、GTカーとしても驚くほど印象に残るクルマだった。

オプション追加のアドバイス

金に糸目をつけないのなら、リュクスパッケージと、4500ポンド(約63万円)のMSOディファインドブライトパッケージ、明るい色調のメタリック塗装を選びたい。あたたかな陽気の中でツーリングすることが多くなりそうなら、4950ポンド(約69.3万円)のエレクトロクロミックガラスルーフもおすすめだ。

改善してほしいポイント

・キャビンと後部ラゲッジスペースの間にはパーティションをつけて、ロードノイズを抑えてほしい。
・部分的にでもいいので、ラゲッジスペースの深さを増してもらわないと、かさばる荷物が積めない。
・乗り心地はさらなる改善を。もう少し硬くてもいい場面はあったが、減衰はもっとプログレッシブにしたほうがいい。

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