フォルクスワーゲン・ゴルフR

公開 : 2014.01.24 21:20  更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

フォルクスワーゲンの中で最も多いセールスを示しているゴルフの最も高価で最もパワフルで最も素早い加速を持ったバージョンが、このゴルフRだ。このハイ・パフォーマンス・バージョンのゴルフは、3ドアと5ドアの2つのボディを持つ。

そのパワー・ユニットは、バリアブル・バルブ・タイミングとカムシャフト・コントロール、そして2ステージのバルブ・リフト機能を持った2.0ℓ4気筒ターボのEA888で、そのパワーは296bhpだ。トランスミッションは、6速マニュアルまたは6速デュアル・クラッチで、駆動方式は4WDとなる。

ギアボックスは前世代と変りないが、その4モーション・システムは、第5世代のハルデックス・マルチプレート・クラッチと、ゴルフGTIにも使用されている電子ディファレンシャル・システム(EDS)と、XDSプラス・システムといった変更された電子パッケージによってアップグレードされている。

また、ドライブ・プロファイルはドライバーが、レース、ノーマル、エコの3つを選ぶことが可能だ。その切り替えによって、ステアリング、スロットルおよびギアボックスのレスポンスが変更を受けるというもの。

この新しいゴルフRは、通常の7代目ゴルフと同じMQBプラットフォームをベースに構成される。そのボディは大きくなってはいるが、それでもフォルクスワーゲンは先代に較べ3ドアで45kgほどダイエットしたという。そのボディ・ウエイトは1476kgだ。

パフォーマンスは、0-100km/h加速で、マニュアル・モデルが5.3秒、素早いシフトが可能なデュアル・クラッチ・モデルでは4.9秒となる。トップスピードは電子的なリミッターで250km/hに制限されている。ちなみに、公式の燃費とCO2排出量は、DSGモデルで14.8km/ℓ、159g/kmだ。

■どんな感じ?

すぐにこれが普通のゴルフではないことが充分に理解できるはずだ。そのスタイルの変化はごく控えめではあるが、それでもズラリと並んだゴルフの中からゴルフRを見つけ出すのには充分に特徴的である。20mm低くなった車高と、幅広いトレッドがスポーティなルックスを与えることに成功している。また、エンジン冷却のための大きなエア・ダクトが開けられたフロント・バンパー、ユニークなフロント・グリル・インサートとそのグリルにつけらえたRバッジ、ワイド化されたサイド・シル、テールゲート上の大きなリア・スポイラー、リデザインされたリア・バンパー、そしてペアのクローム製のデュアル・エグゾーストなども専用装備となる。また、インテリアではアナログ・インストルメントに入れられた青いハイライトや、本革巻のフラット・ボトムのステアリング・ホイール、恐ろしくサポートの良いレザー・スポーツ・シート、そして専用のRトリムなどが特徴となる。

2.0ℓ4気筒はアイドリングから逞しいサウンドを立てる。走りだすと、エグゾーストからは更に大きなサウンドが奏でられる。それはゴルフのトップ・モデルに相応しいものだ。

低回転で弱化のターボチャージャー・スプールを感じるが、回転の上がりは印象的に円滑であり、しかも柔軟で、高回転まで一気に回る。特にミッド・レンジはこのエンジンの美味しいところだ。パワーは6200rpmまで上昇し、6800rpmのレブ・リミットまで正確に回る。そのメカニカルな改良は、洗練したフィーリングをそのエンジンにもたらしている。

今回は凍った路面でしかゴルフRをドライブすることが出来なかったが、それでも明らかにダイナミックさは先代を遥かに越え進歩している。ダイレクトな電子機械式のパワー・アシストを持つステアリング、素晴らしいボディ・コントロール、レース・モードでもスポーツ・モードでも固いが不快ではない乗り心地など、あらゆる部分でアウディS3スポーツバックのように敏感で高い能力を持っているように感じだ。

新しくチューニングされた4WDモデルのグリップ・レベルは予想通りに高く、低速コーナーから素晴らしいトラクションを示してくれる。また、グリップ・レベルを超えてタイヤがブレークしても、2ステージのスタビリティ・コントロール・システムが、フロントのアンダーステアを解消し、リアのオーバーステアを殺し、最適なラインに戻してくれる。

そのレスポンス良さと機敏さは新しい発見であるともいえる。トラクションの強大さと、素早い反応のディファレンシャルの動きは、マイナス26度のスウェーデンの湖の上でも最高に安全であった。

■「買い」か?

スムーズで、素早く、レスポンシブで、実用的で、比較的経済性もよく、クオリティにも優れる。最新のゴルフRは、魅力の多いクルマだ。しかし、メルセデス・ベンツA45 AMG、アウディS3、BMW M135iなどといったライバルがひしめくこのクラスの中にあっては、ゴルフRは唯一の選択肢とはならない。また、フォード・フォーカスSTや、セアトレオンクプラスコダ・オクタビアvRSといったモデルもライバルとして名を連ねる。

ゴルフRの特徴は、スタンダード・モデルと比べて、突出したルックスを持たないことにもある。あまり派手な出で立ちはないが、その実、とてつもなく速いといったモデルを望む層には好まれそうなモデルでもある。

(グレッグ・ケーブル)

フォルクスワーゲン・ゴルフR

価格 £29,990(520万円)
最高速度 250km/h
0-100km/h加速 4.9秒
燃費 14.5km/ℓ
CO2排出量 159g/km
乾燥重量 1495kg
エンジン 直列4気筒1984ccターボ
最高出力 296ps/5500rpm
最大トルク 38.7kg-m/1800rpm
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

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