【労働者のFFアルファ】アルファ・ロメオ・アルファスッド 希少になった大衆車 後編

公開 : 2021.04.25 17:45

アルファ歴代で一番多く売れたモデル

恐らくアルフェッタが登場するまで、前輪駆動用のトランスミッションとして最高の1つだっただろう。当時のアルファ・ロメオのシフトフィールは、冴えないものが多かった。

ツインカムエンジンに後輪駆動だったそれまでのアルファ・ロメオとは何も共有していないが、アルファスッドには生まれながらの才能が備わっていた。その後のモデルにも、継承することはできなかったように思う。

アルファ・ロメオ・アルファスッド 赤のtiクーペ、緑のスプリント・ベローチェ・クーペ、白のtiクーペ・シリーズ2 オーナーのアレックス・ルゲリとマッテオ・ブラゴリ
アルファ・ロメオ・アルファスッド 赤のtiクーペ、緑のスプリント・ベローチェ・クーペ、白のtiクーペ・シリーズ2 オーナーのアレックス・ルゲリとマッテオ・ブラゴリ

不思議な魅力を備え、優れたドライバーズカーを生み出してきたブランドへの期待にアルファスッドは見事に応えた。生産台数は述べ110万台に達し、アルファ・ロメオ歴代で一番多く売れたモデルになった。

反面、錆びやすいボデイと粗悪な製造品質という、良くないブランドイメージを定着させてしまうきっかけにもなった。アルファ・ロメオだけでなく、一般的なイタリア車に共通するものかもしれないが。

悲しい現実として、状態の悪くないアルファスッドですら、生産台数の割に現在は見つけることが難しい。英国の路上にいるアルファスッドは、80台もないと考えられている。その数は徐々に減る一方だ。

かつての大衆車は、今ではすっかり希少なモデルになってしまった。それでも、人の気持ちを強く惹きつける不思議な力を備えている。今回のルゲリやブラゴリのように。

アルファ・ロメオというブランドにイタリア政府の策略、著名なデザイナーとエンジニアの参画、入手困難という事実。アルファスッドを取り巻く様々が、より強く2人を誘惑するのだろう。

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