【新次元の992型GT3】ポルシェ911 GT3へ試乗 510ps Fサスはダブルウイッシュボーン 前編

公開 : 2021.04.23 08:25

ハードコアなポルシェ911といえば、GT3がその筆頭。メカニズムのアップデートで走りに磨きがかかった最新992型を、英国編集部が評価しました。

510psのフラット6 NAに5kgの車重増

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
最新の992型ポルシェ911 GT3が発表された。スペック表を見ていると、既視感がなくもない。新しく就任したボスは、以前のボスと似た人柄のよう、とでもいえようか。

近寄って見てみても、強い新鮮味はないかもしれない。少し車重が増え、少し馬力を増している。水平対向6気筒エンジンにはターボが載らず、ペダルは3枚か2枚が選べることは以前と同じ。かなり高額になっているのだが。

ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)
ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)

もちろん、この情報だけで最新のGT3を判断するのは間違い。実際に運転すれば、今までで最も大きな進化を得たGT3だと気がつく。

初代となった996型のGT3から2代目の997型GT3への進化も、大きなものだった。だが今回の992型は、筆者がこれまで運転してきたGT3の中で最も感銘を受けた1台となった。

触れるべき内容はかなり多い。手短に確認していこう。

4.0Lのフラット6には10psが追加され、最高出力510psを獲得している。馬力で比べれば、先代の991型のGT3の500psと、最終進化形のGT3 RSの520psの間に相当する。

車重は先代から5kg増えている。むしろ、40kg近く増えていた可能性があるところを、積極的なダイエットで5kgのプラスに留めたといった方が正しいだろう。

具体的に見ていくと、エンジンの軽量化で6kgのマイナス、エグゾーストシステムで10kg、電装系用にリチウムイオン・バッテリーを採用し10kgを削減。さらに薄いガラスを用いることで4.7kgを削っている。

ダウンフォースは最大で385kg

ほかにも軽量なエンジンマウントの採用で3.5kg、カーボンファイバー製のボンネットで2.5kg、防音材の削減で1.9kg、リアデッキの変更で0.5kgなど、細かな部分も抜かりはない。鍛造ホイールは1.3kg軽いという。

オプションのセラミック・ブレーキやカーボンファイバー製のシートとルーフを選べば、一層の軽量化も図れる。ただし、この3つのオプションを加えると、GT3への支払金額が10%以上高くなるから、見積もりの際は気をつけたい。

ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)
ポルシェ911 GT3(992型/英国仕様)

空力的な改善も大きい。最新型は、ポルシェが詳細な数字を明らかにしたいと思えるダウンフォースを生成する、初めての911 GT3ではないだろうか。

特に、高くそびえるスワンネックと呼ばれるステーで支えられる、大きなリアウイングが目新しい。空力的な役割を果たすのは主にウイングの下面だから、上から支えることで面を平滑にし、ダウンフォースを高める機能がある。

フロントスポイラーも新形状。ボディの下面にはディフューザーが内蔵され、ホイールハウス周辺の気流を調整し、リアウイングとのバランスを取るように設計されているそうだ。ジャッキアップしてフロントタイヤを外さないと見れないが。

これらが組み合わさり、最大で385kgのダウンフォースを生成するとポルシェは説明する。先代のGT3より、150%以上も大きい数字となる。

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