SでもRS6 アバント凌駕の加速 アウディ e-トロンGT(2) 強化された電動GTサルーン コスパ高いクワトロ

公開 : 2026.02.27 18:10

中期の改良を受けたe-トロンGT モーター強化にバッテリー12%増 車内は伝統のGTライクな雰囲気 「S」でもRS6 アバント凌駕の加速 アウディらしさ滲む操縦性 UK編集部が試乗

S e-トロンGTでもRS6 アバント凌駕の加速

アウディ e-トロンGTは速い。最強ではないS e-トロンGTでも、RS6 アバントを凌駕する。ツインモーターで680psを誇り、0-100km/h加速は3.1秒で処理。0-161km/h加速ですら6.8秒で、従来のスーパーカーを超える速度上昇を軽々と披露してみせる。

ベースグレードの e-トロンGT クワトロは通常503psだが、ローンチコントロールを機能させれば585ps。0-100km/h加速は、ポルシェ911 カレラSと変わらない。

アウディ S e-トロンGT(英国仕様)
アウディ S e-トロンGT(英国仕様)

925psの「パフォーマンス」の本気は、恐ろしいほど。濡れた路面では僅かにリアタイヤをむずがらせ、怒涛の加速へ身を置ける。ただし、最強版でもフィーリングが薄味なことは否めない。クワトロ以上の馬力が必要な場面は、日常的には存在しないかも。

グレードを問わず、リア側に2速ATが組まれており、通常は2速発進で滑らかさが優先される。ダイナミック・モードを選ぶと、変速音をキャビンへ届けつつ、キックダウンするのがわかる。聴き応えある合成音が、スピード感を増長させる。

根底の印象はタイカンと一致 滲むアウディ感

ブレーキは、フェイスリフトを経てペダルの踏み心地が改善したが、もう少し感触を伴うと好ましい。普通に運転している限り、機能するのは回生ブレーキ。深く踏み込むまで摩擦ブレーキは働かず、得られる制動力の一貫性はもう少し高めたい。

タイカンとJ1 IIプラットフォームを共有し、巧みに設計された高度なサルーンだという、走りの根底の印象は通じる。ロックトゥロック2.5回転のステアリングレシオも、一致している。それでも、操縦性にはアウディらしさが滲む。

アウディ S e-トロンGT(英国仕様)
アウディ S e-トロンGT(英国仕様)

速めのペースでは、安定感と沈着さを重視した特徴を示すように、アンダーステア傾向。操舵に対し、フロントノーズの反応が若干遅れるような感覚を伴う。とはいえ、ステアリングの反応は正確で、フラットに旋回しグリップ力も高い。

比べれば、胸がすくような敏捷性までは備わらず、エンターテインメント性でタイカンに及ばない。エンジンで走るサルーンでは、叶え難いほど鋭い回頭性ではあるが。

クワトロの電費は4.5km/kWh 実航続は450m前後

ベーシックなe-トロンGT クワトロでも、ドイツ車らしい実直な操縦性は変わらない。2.3t超の車重で重さを時折感じさせても、ステアリングは高精度で、カーブは至って安定。アクティブサスペンションを備えずとも、ボディロールは印象的なほど小さい。

空気抵抗が抑えられたフォルムで、高速走行時の風切り音は小さい。クワトロの場合は20インチとe-トロンでは控えめなホイールサイズで、優しい乗り心地が好ましい。

アウディ S e-トロンGT(英国仕様)
アウディ S e-トロンGT(英国仕様)

e-トロンGTで、電費が最も良いのはクワトロ。今回の試乗では、市街地から高速道路まで様々な条件を走らせ、平均4.5km/kWhが示された。カタログ値は5.4km/kWhだから、2割ほど低く、現実的な航続距離は450m前後といっていい。

価格は、例によってアップデートで上昇。英国では約8万9000ポンド(約1869万円)からスタートし、RSのパフォーマンスでは16万ポンド(約3360万円)を超える。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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