【電動ラリークロス・マシン】スタード・フォード・フィエスタERXへ試乗 未来の興奮 前編

公開 : 2021.05.08 08:25  更新 : 2021.05.14 07:40

バッテリーで走るラリークロスマシンを開発した、レーシングチームのスタード。電動化技術が生むモータースポーツの未来を、英国編集部が体験しました。

もくじ

既存マシンと混戦できる純EVレーサー
トリプルモーターで611psと101.9kg-m
テイン社製のサスにAP社製のブレーキ
0-100km/h加速は驚愕の1.8秒

既存マシンと混戦できる純EVレーサー

text:James Disdale(ジェームス・ディスデイル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
モータースポーツでも、電動化は重要なテーマとして避けることができない。市街地サーキットで競うフォーミュラEに続いて、過酷なオフロードを走るエクストリームEもスタートしたが、いずれもマシンは純EVに限定されている。

今のところ、先端技術の開発や遠隔地での開催などの理由でコストは高く、参戦できるチームは充分なバックアップを受けられる世界トップクラスのみ。化石燃料を大量に燃やしたF1という過去を、相殺するかのようでもある。

スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)
スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)

しかし、スタード・フォード・フィエスタERXのアプローチは少し異なる。長年WRCで活躍してきたオーストリアを拠点とするレーシングチーム、スタード社が開発した新しいマシンだ。

電気モーターと駆動用バッテリーで走るラリークロス・マシンで、プライベーターでも購入できるように設計されている。必要なら、コ・ドライバーを助手席に乗せてラリーに出場することも可能だという。

ここで注目すべき点が、内燃エンジンを搭載した従来のマシンと直接対決が許されているということ。ラリークロスから純粋なガソリンエンジンが消えるであろう将来、どれだけの興奮を与えてくれるのか、ファンは事前に体験できることにもなる。

スタード社が開発したフォード・フィエスタERXの最大の特徴は、モジュール構造を採用した電動技術。この例ではフォード・パフォーマンスが協力してくれたそうだが、シトロエンなどほかのクルマでも、同様のシステムを容易に搭載できるという。

トリプルモーターで611psと101.9kg-m

小型の電気モーターとバッテリーは、ラリークロスやラリーへ参戦するような、すべてのマシンに搭載可能らしい。今のところスタード社はコストを抑えるため、WRCカテゴリーで1つ下に属するR5クラスのマシンを軸としている。

その仕上がりには、驚かされるばかり。試乗を許されたフィエスタERXは、完全なラリークロス用のスーパーカーだ。スイスのブルサ社と協働開発したという強力な駆動用モーターを3基搭載し、最高出力611ps、最大トルク101.9kg-mを獲得している。

スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)
スタード・フォード・フィエスタERX(ラリークロス・マシン)

フロントに1基、リアに2基のレイアウトで、前後それぞれに小さな2速トランスミッションが組まれる。さらにリミテッドスリップ・デフを介して、4本のタイヤを強力に回転させる。

モジュラー構造のレウアウトで、フロント側にはもう1基の駆動用モーターのスペースが残されている。フロントにも2基のモーターを組めば最大1000psまで実現可能で、最高速度は299km/hに届くという。

ドライバー横のフロアに積まれる駆動用バッテリーは、35kWhのリチウムイオンで容量は小さめ。FIAが認証するカーボンファイバー製のシェルで保護され、50Gの衝撃にも耐えられるそうだ。

スタードは航続距離を明らかにしていない。少なくとも、途中の充電なしで準決勝や決勝を戦える距離は走れる。バッテリーはDC急速充電器を用いれば、15分で80%の電気を蓄えられるとしている。

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