【魅了させるための700ps】アストン マーティンV12スピードスターへ試乗 88台限定

公開 : 2021.05.28 08:25

オーダーメイドのヘルメット付き

実用性でいえば、ケーターハムの方がずっと良い。トヨタ車に近い。V12スピードスターは、遠くの目的地を目指すクルマではない。出発地の周辺で多くの視線を集めて、再びその場所へ戻ってくるようなタイプだ。

屋根はないから、乗るなら暖かくて晴れた日が良い。ただし暖房は良く効くし、シートにもヒーターが内蔵されている。V12スピードスターを買うと付いてくる、オーダーメイドのヘルメットを被るかどうかは、悩むかもしれない。

アストン マーティンV12スピードスター(欧州仕様)
アストン マーティンV12スピードスター(欧州仕様)

普通の速度域でも、走行中に飛び石で顔を怪我する可能性はゼロではない。ヘルメットを被っていれば、当たっても弾かれる。ホッと胸をなでおろすだけで済むだろう。

筆者は、ダイレクト感という見返りのためにヘルメットを被らなかった。無事に、怪我せずに済んでいる。

V12スピードスターは、高速クルーザーといえるだろうか。筆者の印象は、期待ほどではなかった。乗り心地は素晴らしいが、トルクが少し失われている。

ステアリングフィールは、シャシー構造が重く剛性が若干劣るためなのか、ヴァンテージではなくDBSクーペの方に近く思えた。ダイナミックな見た目とは裏腹に、積極的に振り回そうという感覚は湧きにくい。

そもそも、そういうクルマではない。高速域では、V12エンジンのサウンドを存分には楽しめない。ドラマチックさや非日常性を求めたモデルでありながら、ちょっと残念なポイントだろう。

条件が許せば素晴らしい体験を得られる

アストン マーティンV12スピードスターは、生々しいドライビングマシンとまではいえない。あり余るパワーを解き放って突っ走るのではなく、優雅に魅了させるためのクルマだ。110km/hくらいで走っていても、風は穏やかではない。

このスピードスターを欲する人は、少なからずいるだろう。美しいものを愛し、既にガレージにはアストン マーティンDBSを収めているような人。ハードコアなスーパーカーと一緒に。

アストン マーティンV12スピードスター(欧州仕様)
アストン マーティンV12スピードスター(欧州仕様)

そんな人でも、V12スピードスターの出番は限られるかもしれない。暖かく晴れていて、目的地が遠くなく、特に急いでいない時が良い。適度に起伏や変化に富んだ道なら、素晴らしい体験を与えてくれるはず。

でも筆者は、そういう人ではない。残念ながら。この読者にそんな余裕のある人がいるのなら、思い切りこのアストン マーティンで遊んで欲しい。

アストン マーティンV12スピードスター(欧州仕様)のスペック

英国価格:76万5000ポンド(1億1475万円)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:299km/h
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1750kg以上(予想)
パワートレイン:V型12気筒5204ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:700ps
最大トルク:82.9kg-m
ギアボックス:8速オートマティック

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