【英国流マッスルカーたち】フォード・コルティナ ローバーP6B 3500Sほか 後編

公開 : 2021.06.20 17:45

ビュイック由来のローバーP6B 3500S

それを見ていたローバーは1972年、P6BにMTのS仕様を発表する。ビュイック由来のオールアルミ3.5L V8エンジンを、コンパクトなローバー社製ボディに載せた。1968年の当初は、ATのみのラインナップだった。

P6B 3500SにはMTと少しのパワーアップを与え、最高速度193km/h、0-97km/h加速9.0秒を実現している。1970年代初頭のエグゼクティブ・マッスルカーとして、適任といえそうだ。

ローバーP6B 3500S(1972年/英国仕様)
ローバーP6B 3500S(1972年/英国仕様)

ここまで何台かの英国版マッスルカーを取り上げてみたが、実際には完全なマッスルカーとまでは呼べない。アメリカでは、贅肉を落とした2ドアハードトップにビッグブロック・エンジンを載せ、0-400mを12秒や13秒で走れることを目指していた。

これまでのトライアンフやローバー、ヴォグゾールは、同じ位置に並ぶことはできない。6気筒エンジンを載せたくらいでは。

アメリカは何しろガソリンが安かった。クルマを所有するということは、アメリカで生きる上で当然の権利。クルマの運転は、暮らしにとって不可欠なものだった。

一方でガソリン税が高く、込み入った道路環境の英国。タイヤからスモークを上げながら、地元のストリートを飛ばすようなクルマへの需要は拡大しなかった。

1970年代になって、アメリカ由来のスモールブロックを載せた英国車も登場はしている。英国人にも溢れるほどのパワーを与えてはくれた。だが、アメリカのマッスルカーとはまったく別の文化だったといえるだろう。

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