【F90型M5の理想形】BMW M5 CSへ試乗 一般道へフォーカス 635psにマイナス70kg 前編

公開 : 2021.06.30 08:25

BMW M5の頂点に据えられる、クラブスポーツ仕様が登場。全面的な見直しで、M5へ求めるべき特性を取り戻したと英国編集部は評価します。

BMW M5のターニングポイント

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
BMWはこれまで、高性能サルーン、M5のクラブスポーツ仕様は作ってこなかった。今回試乗したM5 CSは史上初となる。最高出力635ps、0-100km/h加速3.0秒で、公道用Mモデルとしては最強に据えられる。

英国価格は、14万ポンド(2156万円)を超える。そもそも高性能なM5ではあるが、このM5 CSにはさらなる重要性を感じられた。M5のターニングポイントともいえそうだ。手が届く少数のドライバーの欲求を満たすモデル、というだけではない。

BMW M5 CS(欧州仕様)
BMW M5 CS(欧州仕様)

BMWはこのM5 CSを通じて、F90型M5の開発ベクトルを若干見直したようだ。ダイナミクスの面でも、かなりの費用を投じながら、効果的に改善されている。

F90型M5が英国の一般道へ降り立ったのは2018年。とても印象深いドライビング体験だった。標準の599ps仕様のM5でも、大型サルーンとしては破格の操縦性と俊敏性を実現していた。

知的な四輪駆動システムが組み合わされ、感心するほどの順応性も備わっていた。だが、M5が長年築き上げてきたドライバー層に、完全にはフィットしなかったように思う。

容赦なく硬い乗り心地と、電動機械式パワーステアリングが生むぼやけたステアリングフィール。バイワイヤで制御されるブレーキシステムも採用され、パフォーマンス・サルーンとして改善の余地が残されていた。

そんな印象を残し、2019年にM5 コンペティションが登場。最高出力は624psへ引き上げられ、サスペンションは一層引き締められていた。オリジナルのM5が備える特長は、掴みにくいものになっていた。

磨き込まれた操縦性や意思疎通のしやすさ

しかし、フェイスリフトを受けた2020年のM5 コンペティションでは、実際の道路環境に合わせて、クルマの動的なバランスが少し整えられた印象を受けていた。今回の序章として。

翌2021年、このM5 CSがやってきた。素直に仕上がりを称賛したい。ドイツ・ミュンヘンの技術者は、ヘビー級スーパーサルーンの能力が、実際どこで発揮されるべきかを正しく理解し直したようだ。

BMW M5 CS(英国仕様)
BMW M5 CS(英国仕様)

注目を集めるほどの過剰なパワーを与えたり、サーキット走行に軸をおいた特性を与える道は選ばなかった。BMW M5のオーナーには不要だからだ。

新しいM5 CSは、ポルシェ911 GT3 RSの4ドアサルーン版ではない。リアシートを専有するロールケージもなければ、無駄になった車内空間もない。より優れた、スーパーが付く4ドアサルーンであり、使い勝手もすこぶる良い。

最高出力は635psで、コンペティションより10ps引き上げられた。最大トルクは同値だが、補完するように軽量化が図られている。さらに操縦性や操舵感、音響面や意思疎通のしやすさなどが、従来以上に磨き込まれている。

M5 CSでは、カーボンファイバー強化ポリマーという素材をボディに採用。スポーツシートはカーボン製のシェルが支える。ホイールは20インチの鍛造で、カーボンセラミック・ブレーキと同様に軽量化に貢献している。バネ下重量としても効果は大きい。

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