【BL一筋に50台以上】メトロ・バンデンプラにローバーSD1 エンスージァストの血筋 前編

公開 : 2021.07.11 07:05

ほとんどが車検を通し走れる状態

BLのディーラーを辞めると、カーズリーはアメリカへ移住。シアトルでジャガーポルシェアウディなどを3年ほど販売した。

英国へ戻ると、ホンダのディーラーを購入。続いてロールス・ロイスベントレーのディーラー、ダットン・フォーショーへ移籍し、1995年からはジャック・バークレイに務めた。これまで、英国女王へ3台のクルマを納入しているそうだ。

所狭しと並ぶローバー・メトロ。MGBロードスターとトライアンフ・スタッグも見える
所狭しと並ぶローバー・メトロ。MGBロードスターとトライアンフ・スタッグも見える

取材中、2か所に分かれたガレージで数えたコレクションは40台。カーズリーによれば、組み立て途中のクルマも別に10台以上あるという。一部は、放置状態のものも含まれるが。

比較的新しいモデルとしては、ローバー100 メトロ。古い方では、1970年代のローバーP6やバンデンプラ1300を維持している。ほとんどが、車検を通し走れる状態を保っている。絶望的にサビたクルマの集まりではない。費用を惜しまずレストアされている。

その中でも、バンデンプラはコレクションの目玉の1つ。13台のメトロのうち、10台がバンデンプラ仕様。5ドア・ハッチバックサルーンのローバーSD1も複数台あり、その半分は上級なバンデンプラ仕様だ。

取材したガレージには、6台のメトロがびっちりと並んでいた。ドアミラーが触れそうな間隔で。シャンパンカラーの1台を見ながらカーズリーが説明する。「ATのメトロ・バンデンプラは、完全にレストアしてあります」

極めて珍しいバンデンプラ・メトロ

「解体途中の家で発見されたクルマです。不動産業のいとこから、年配の女性が2万3000kmくらいのメトロを所有していて、家と一緒に潰す予定だと聞いたんです。今は再塗装してあります。こんなに良い状態のメトロは見たことがないと思いますよ」

カーズリーが話すとおり、バンデンプラ・メトロの残存台数は極めて少ない。「多くのメトロは、オリジナル・ミニのドライバーによってMG製のエンジンが抜き取られました。忘れないで欲しい1台です」

メトロ・スカウト・プロトタイプ
メトロ・スカウト・プロトタイプ

シャンパンカラーの隣には、現存する唯一と予想される、アランベージュでMTのバンデンプラ・メトロが停まっている。ブラックの方は1万1000km、レッドのメトロでも3万5000kmという走行距離の短さだ。

明るいイエローのクロスオーバーは、メトロ・スカウトのプロトタイプ。モーターショーに出品された提案車両だった。近年は一般化したクロスオーバーというスタイルだが、当時は車椅子が載せられるように改造された福祉車両に見えた。

カーズリーが続ける。「破産間際のBLが開発した、歴史的に重要なモデルです。ランドローバーフリーランダーの登場で、登場には至りませんでした」。コンセプトカーだが、走れる状態にまで作り込まれている。

さらに珍しいのが、1981年に作られたフレーザー・ティックフォード・メトロ。MGメトロの登場より前に、25台だけ製造された。レザー張りの内装が施された、超高級なコンパクトハッチバックだ。

この続きは後編にて。

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