【目指すは本物の四輪駆動】イネオス・グレネーダー 試作車へ試乗 ディフェンダーを再設計 前編

公開 : 2021.07.05 08:25

見通しの付かない社会を反映するように、人気が高まるオフローダー。新興メーカーが生み出した気鋭の1台を、英国編集部が評価しました。

世界トップクラスのオフローダーを目指す

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
鋭く尖った岩の上で、バランスを取りながらソロソロと走る。サスペンションの能力を限界まで試すような、厳しいオフロードコースが10kmも続く。

右側のフロントタイヤは、完全に浮いている。左側のリアタイヤは、深いキャンバー角でボディにのめり込み、地面へ押さえつけられている。

イネオス・グレネーダー・プロトタイプ
イネオス・グレネーダー・プロトタイプ

今筆者がいるのは、オーストリア・グラーツからほど近いシェークル山。標高1445mのエリアにある広大なオフロードコースだ。ニューモデルのイネオス・グレネーダーが、最終テストに挑んでいる。

5週間のテストプログラムの真っ最中で、マグナ・シュタイア社の技術者はこのコースを1900km以上走り仕込む。英国で設計されたオフローダーで、過酷な山腹を336回も往復するそうだ。2022年までに述べ177万kmを走る、耐久試験の一環として。

AUTOCAR英国編集部は、このテスト現場に招いていただいた。

イネオス社は欧州で石油化学事業を展開する大企業。石油やガスで得た資金をもとに、世界トップクラスのオフローダーを発売しようとしている。完成間際の実力を披露するため、52度という急斜面すらある危険なコースへ筆者を招待してくれたのだ。

さきほど、ハンドリングコースでグレネーダーのプロトタイプを試した。あらゆる路面の障害を平然と走破するタフさだった。ドライバーの気持ちとは裏腹に。

一度クルマから降りて、簡単にコースの様子を確かめた後、再びよじ登る。ローレンジを選択し、3か所のデフをロックする。慎重に出発した。

きっかけは生産を終えた初代ディフェンダー

シェークル山の最もチャレンジングなコースも、最終セクション。アルプスの厳しい気候で削られた花崗岩が露出し、今まで以上に技術的な要求が高い。しかしグレネーダーにとっては、取り立てて手強い相手ではない様子。

エンジンは低い回転数を保ちながら、ゆっくりと進み続ける。まるで買い物へ向かうクルマのように。

イネオス・グレネーダー・プロトタイプ
イネオス・グレネーダー・プロトタイプ

グレネーダーは、イネオス社のCEOを務めるジム・ラトクリフ卿と同僚が、ロンドン中心部のパブで話題を膨らませたオフローダーが発端。初代ランドローバー・ディフェンダーが2016年に生産終了を迎えたことをきっかけに、考案されたという。

見た目はクラシカルだが、中身は現代的な構成が与えられている。筆者のような部外者にも運転させてくれるだけあって、開発の最終段階に入っている。

イネオス社によれば、発売は2022年3月から。それに先立って、予約の受付があと3か月で始まろうとしている。

スムーズに完成させるため、イネオス社は開発とプロトタイプ製作をオーストリアのマグナ・シュタイア社へ依頼した。BMW Z4やトヨタGRスープラ、メルセデス・ベンツGクラスなど、様々なモデル開発に関わってきた経験と実力を備えている。

同時にイネオス社は、メルセデス・ベンツからフランスの旧スマート用工場を2019年に買収。グレネーダーの量産体制を整えている。2020年代半ばまでに最大で年間3万台の生産を想定して、計画は大詰め段階といえる。

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