【最新は最良か】ブリヂストンの新ブリザック 氷上で知るVRX3の本領

公開 : 2021.07.27 11:45  更新 : 2021.10.18 23:45

ブリジストンの新スタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」。氷上で従来型のVRX2と比較検証してみました。公道とはまったく異なる氷盤で、どんなことが体感できるのでしょうか。

スタッドレス VRX2からVRX3へ

text:Shinichi Katsura(桂伸一)
photo:Yoshihisa Miyazawa(宮澤佳久)

ブリヂストン最新のスタッドレスタイヤの試乗会に向かった先は、新横浜スケートセンター。つまり、アイススケートリンクである。

安心のスタッドレス、ブリザックVRX2の誕生から4年。安心・安全の冬性能とともに、乾燥路面でも重要な性能を引き上げた新型、VRX3が誕生した。

11代目になったブリザックには「VRX3」の名が与えられた。全111サイズが、9月1日以降、順次発売される。
11代目になったブリザックには「VRX3」の名が与えられた。全111サイズが、9月1日以降、順次発売される。    宮澤佳久

ブリヂストンによると、北海道札幌市のタクシーのブリザック装着率は69.5%。北海道・北東北といった完全な降雪地域における一般ドライバーは実に46.2%(主要5都市)で、20年連続で装着率1位の実績を誇るという。

これまでの主力、VRX2から、さらに氷上での効き味、ブレーキ性能とその持ち、耐摩耗性といったライフ性能を向上。一方で、高い氷上性能を維持すると、一般路のドライ/ウェット/転がり抵抗/静粛性とバランスさせることが難しい。VRX3はそこもトータルで引き上げたという。

試乗はスケートリンクの氷上。通常ブリヂストンは、スタッドレスの取材は北海道士別市にある広大な敷地のテストコースを舞台にする。あらゆる路面状況や新・旧比較から、構造違い、ゴム違い、パターン違いまで、我々に学習の機会も含めて試乗させる。

ところが一向に収まる気配すら感じさせないコロナ禍故に、リスクは避ける。

そこで普段は販社対応の試乗会として組まれるスケートリンクで新・旧比較となった。VRX2に対してVRX3は何がどう違うのか? 同一条件でカンタンに比較試乗できるので、ある意味わかり易い。

個人的にはスケートリンクの氷盤のように、真っ平らな路面など一般公道で存在するハズはないと考える。なので、信憑性に欠けると思うのだが、論より証拠。

同じように旋回 速度差は?

室温10℃、路面温度マイナス2℃と、日常では滑りやすくなる路面状況で比較する。

まずはVRX2で、直径9mの定常円旋回。曲がりながら、スライドが始まる限界はどこか?

VRX3を履く白のプリウスと、VRX2を履く黒のプリウスという2台で比較検証を実施した。VRX3は「ステアリングに舵角を与えた時の手応えが重い」と筆者。
VRX3を履く白のプリウスと、VRX2を履く黒のプリウスという2台で比較検証を実施した。VRX3は「ステアリングに舵角を与えた時の手応えが重い」と筆者。    宮澤佳久

試乗車のプリウスは御存じハイブリッドだが、その出足は滑らかにスッと加速に入る。円旋回を開始すると一定のステアリング舵角、アクセル量では11km/hが限界。つまり、同じ円を描けず外に膨らむアンダーステアを誘発。

アクセルコントロールを駆使しても、11~12km/hをさまよう。感触が掴めたところで、速攻VRX3に乗り換える。

VRX3の試乗も先程と同じ要領、操作方法をまったく変えずにスタートする。

まずはステアリングに舵角を与えた時の手応えが重い。氷上路面にタイヤが密着している証拠である。速度は14km/hまで上がる。

たかが2~3km/hと思うだろうが、直径9mの円を旋回するのに“2~3km/hも違う”速度は明確に体感できる。

記事に関わった人々

  • 宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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