【MGB GTで830kmを走る】スコットランド人気の観光ルート ノースコースト500 後編

公開 : 2021.09.11 17:45

海外への移動が制限された2021年。英国編集部は最高のドライブを楽しむために、北スコットランドのノースコースト500を目指しました。

見事な自然との出会いの連続

執筆:Ed Foster(エド・フォスター)
撮影:Luc Lacey(リュク・レーシー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ダンネット・ヘッド岬のそばに住む知人のミックへ、ノースコースト(NC)500をどう思うのか聞いてみた。「気にはかけていません。キャンピングカーの車列は、好きになれないですが」

「彼らは場所を専有する割に、地元の観光施設などをほとんど利用しません。地域経済にも、影響は小さい」。キャンピングカーに触れずして、NC500のご紹介はできない。

MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)
MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)

ミックが西に離れたダーネスの町まで運転した時、すれ違った普通のクルマは3台だけ。ほかの29台は、キャンピングカーだったらしい。駐車場や道端には、沢山のゴミが散らばっていたともこぼす。

2021年は、休暇を自宅や近場で過ごすステイケーションが推奨され、例年よりキャンパーの数が多いようだ。それがNC500の現実でもある。

クルマの運転を楽しみたい読者なら、真夏の時期を避けるか、公式ルートではなく一本裏の道を走るのが良いだろう。実際にレビューを見ると、西に外れたマリー湖へ面した町、キンロックー周辺を褒める内容も多い。

1877年にビクトリア女王はマリー湖を訪れ、「壮大でロマンチック。でも、ここの訪問者は殆どいないでしょう」。と言葉を残している。時代は変化するものだ。

最高の景色に感動し、カーブを抜けると、再び感嘆の声を上げる。NC500は見事な自然との出会いの連続。筆者のお気に入りは、バルナケイル湾へ向かう道だ。

ゴツゴツとした崖は、白い砂浜へ突然変わる。そうそうお目にかかれない絶景だと思う。

早朝なら素晴らしいドライビングルート

早朝に宿を出発すれば、NC500が素晴らしいドライビングルートだと評価される理由がわかる。長いストレートの先には、視界の良い高速コーナーが延びる。タイトコーナーが迫り、ダブルクラッチで3速へ落とす。

筆者が借りたMGB GTのステアリングは正確に反応し、コーナーの頂点を過ぎたらパワーを与える。ストレートに出たらオーバードライブへ入れて、高速なクルージング状態へ戻る。これを何度も繰り返し味わえる。

MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)
MGB GT Mk2(1970年/英国仕様)

MGBの4気筒エンジンの唸り声が心地良い。ハードトップのベバスト・サンルーフを開けば爽快。風が強く巻き込んでサウンドが聞こえにくくなるけれど。英国の一般道で、ここまでドライバーを楽しませてくれる場所は数少ない。

バルナケイル湾には、ダーネスという町が寄り添う。国防省が冷戦に備えて1950年に建てた施設を利用する、芸術工芸センターがある。ここでアーティストで美容師、マッサージ・セラピストのフィリップ・タンツァーと会った。

彼は9年前にこの場所へ引っ越し、NC500の大ファンだという。「問題なのはイニシアチブ観光委員会が道路やサービス事業に、予算を充分に回さないことです」

タンツァーは地元の観光協会と協力し、より良い訪問地とするために活動している。ただし、平穏に暮らしたいと考える地元住民とは、必ずしも一致する意見ではない。

西海岸の美しさは、NC500を巡る人の多くが先に東側から走る理由。北部のダーネスの町を過ぎ、狭い道を超えると、景色はどんどん見事になっていく。

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