【ターボSより穏やかな571ps】ポルシェ・タイカン4S クロスツーリスモへ試乗 航続445km

公開 : 2021.10.04 08:25  更新 : 2021.10.12 16:19

ポルシェの純EV、タイカンのクロスオーバーとなるクロスツーリスモに4Sが登場。現時点での傑出グレードだと、英国編集部は評価します。

クロスツーリスモに穏やかな4S登場

執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
ポルシェの純EVサルーン、タイカンはモデルレンジを拡大中。シューティングブレークのフォルムをまとったクロスオーバー、クロスツーリスモに、ターボSより穏やかな4Sが登場した。

英国価格8万8270ポンド(1341万円)もするポルシェで、オフロード走行するオーナーは多くないだろう。でも、スキーリゾートへオシャレに向かうケースは少なくないはず。

ポルシェ・タイカン4S クロスツーリスモ(英国仕様)
ポルシェ・タイカン4S クロスツーリスモ(英国仕様)

メカニズム的には、従来のタイカンと共通している。全長は5m近くあり、全幅はドアミラーを含めれば2.1mを超える。つまり、ボディは大きい。

ステーションワゴンのフォルムだが、荷室容量は見た目ほど広いわけではない。開口部も想像ほど大きくない。テールゲートは大きく傾斜し、リアシートを起こした状態で446L、背もたれを倒すと1171Lの空間が得られる。

一方でルーフラインが伸びたフォルムのおかげで、リアシート側の頭上空間にはゆとりがある。日常的な実用性は、充分に優れている。フロントシート側も環境は素晴らしい。ドライビングポジションは適正で、インテリアの知覚品質も出色だ。

ダッシュボードやセンターコンソールはタッチモニターが主役だが、スマートフォンとの連携が可能。操作性では、このクラスのモデルとしてわかりやすい部類に入る。

グラフィックやインターフェイスは、メルセデスAMGのものほど派手ではなく、戸惑う人も少ないと思う。シリアスに運転へ向き合う環境に感じられる。

バッテリーは83.7kWh、航続距離は445km

EVのシステムは電圧800Vの高性能なもので、構成は四輪駆動のタイカンと同じ。4Sには前後タイヤ用にそれぞれ、合計2基の永久磁石同期モーターが搭載される。トランスミッションはフロント側が1速、リアに2速のATが載る。

4Sの駆動用バッテリーは、グロスで93.4kWh、利用可能な実容量で83.7kWhのパフォーマンス・バッテリーが標準装備。現状では、違う容量は選べない。急速充電の能力は、最大270kWまで対応するという。

ポルシェ・タイカン4S クロスツーリスモ(英国仕様)
ポルシェ・タイカン4S クロスツーリスモ(英国仕様)

航続距離は、複合的な条件で445km、好条件なら482kmほど走れるとうたわれる。パフォーマンス・バッテリーのおかげで、よりパワフルなターボS クロスツーリスモより遠くの目的地を1度の充電で目指せる。

最高出力は、ローンチコントロールなどのオーバーブースト時で571ps、通常に走行している条件では490psを発揮する。ターボSの最高出力は761psあるが、4Sでも掛け値なしにパワフルだ。

実際に発進させてみると、気持ち悪くなるような加速力を体感できる。ローンチコントロールを起動すれば、0-100km/h加速時間は4.1秒。高速道路の合流などでも、最大トルク66.1kg-mの実力を発揮させる場面は殆どないはず。

走行中に追い越す場面など、中間加速も極めて鋭い。英国郊外での法定速度となる97km/hまで、不快に思えるほどの勢いで到達する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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