ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボ(2) 日産GT-R想起の猛烈加速 驚異的な能力の幅 議論の余地なく傑出SUV

公開 : 2026.04.02 18:10

ポルシェ史上最強の量産車、1156psのカイエン・エレクトリック・ターボ登場。正常進化な容姿と車内、猛烈な加速力に直感的な操舵感など、多くの強みを秘めます。UK編集部が評価しました。

静寂を破るGT-R想起の猛烈な加速

ポルシェカイエン・エレクトリック・ターボは、桁違いのパワーへ注目しがちだが、コンフォート・モード時の上質さも特筆もの。ミシュラン・タイヤはノイズを発するものの、駆動用モーターは静かで、風切り音もかすか。まるで、お寺の中のように。

ブレーキとアクセルのペダルを踏み込み、ローンチコントロールを起動しても、閑静な車内は変わらない。メーター用モニターに、警告が表示されるだけ。しかし左足を放せば、日産GT-Rを想起させる、内蔵がよじれそうなほど猛烈な加速が始まる。

ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボ(欧州仕様)
ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボ(欧州仕様)

ポルシェ・タイカンより、パワーデリバリーは若干控えめだろう。ファミリーSUVに合わせて、一層リニアな特性が与えられた様子。だが無機質さとは異なるニュアンスを伴い、V8エンジン風の人工音が重なり、よりドラマチックかもしれない。

ノーマル・モードなら、滑らかなアクセルレスポンスで速度管理しやすい。ブースト・ボタンを、押したい衝動に駆られるとしても。

最高峰なブレーキタッチに直感的な操舵感

回生ブレーキはタッチモニター上で強さを選べるが、デフォルトではかなり弱く、高いギアでのエンジンブレーキ程度の減速感しか得られない。スポーツプラス・モードで自動的に強くなるが、こちらの方が望ましい効き具合だろう。

アダプティブ・モードも備わり、状況に応じて惰性走行もできる。ブレーキペダルのフィーリングは、タイカンには及ばないものの、電動SUVでは最高峰。電費を稼ぐべく、従来以上に摩擦ではなく回生ブレーキが機能するという。

ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボ(欧州仕様)
ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボ(欧州仕様)

ステアリングホイールは適度な重さで、反応は直感的でダイレクト。フィーリングの豊かさでは、タイカンが上だが。最大5度までリアタイヤの向きを変える、後輪操舵システムの制御も至って自然に思えた。

グラベルでも乗り心地は魔法のじゅうたん

四輪駆動システムは、リアタイヤが主体。ターボでは巧妙なリアデフが機能し、息を呑むようなハイスピード・コーナリングを叶えている。島国の公道では、その真価を確かめるのは難しいとしても。

ドライブモード次第では、カーブの出口でテールを僅かにスライドさせることも可能。フロントは、狙い通りの向きを捉え続ける。驚異的なパワーを秘めているが、平滑な路面なら、唸るほど運転しやすい。

ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボ(欧州仕様)
ポルシェ・カイエン・エレクトリック・ターボ(欧州仕様)

もちろん、無理をすればアンダーステアが待っている。それでも、技術がドライバーを影で確かに支えているという、安心感を伴う。

プロドライバーの助手席で、ラリーコースを体験させてもらったが、グラベルでの安定性も揺るぎない。砂地を流暢に滑り、ジャンプをしなやかに処理する。同時に、ポルシェ・アクティブライドが機能し、魔法のじゅうたんのように滑らかな乗り心地だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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