【RS3と同じドリフト機能】フォルクスワーゲン・ゴルフR ヴァリアントへ試乗 後編

公開 : 2021.10.15 19:05

深い角度でのドリフトすら可能

新しい四輪駆動システムは、リアタイヤに軸足が置かれた駆動力配分。一層ニュートラルな操縦性を実現させた。

コーナー出口ではフロントタイヤがボディを引っ張るような印象は残っているが、リアタイヤ左右でトルク量が可変する効果で、アンダーステアは見事に抑え込まれている。しっかりラインへ食らいつくような感覚がある。

フォルクスワーゲン・ゴルフR エステート・パフォーマンスパッケージ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフR エステート・パフォーマンスパッケージ(欧州仕様)

グリップ力も引き上げられた様子。試乗車のタイヤはブリヂストン・ポテンザS005で、サイズは235/35の19インチだった。

ボディロールも、アダプティブ・ダンパーと向上したボディ剛性のおかげで最小限。ただし、より小さく軽く、機敏に身をこなすハッチバックのゴルフRの方が、安定性は上ではある。

ゴルフR ヴァリアントのオーナーがサーキットなどを訪れ、バリエーション豊かなドライブモードの違いを確かめるケースは少ないだろう。しかし実際に試せば、ありえないような深い角度でのドリフトすら可能だとわかるはず。

スポーツ度の高いモードでは、案の定乗り心地が硬くなる。しかしコンフォート・モードなら感心するほど穏やかで、揺れもさほど気にならなかった。オプションの19インチ・ホイールを履いていても。

一方で、ドイツの滑らかな路面状態でも、絶え間なくタイヤからはロードノイズが響いてくる。特にフロントタイヤからはうるさいと感じるほど。他の面では優れた洗練性を感じるだけに、残念なポイントといえる。

日常的にも乗れる訴求力の高さ

8代目フォルクスワーゲン・ゴルフに追加となった、ゴルフR ヴァリアント。日常的にも乗れるドライバーズカーとして、訴求力は非常に高い。

爽快に速く、ドライバーとの一体感もあり、運転するのが楽しい。路面を問わず、高い安全性も確保している。ハッチバックのゴルフRより荷室容量は倍以上あり、実用性もすこぶる良い。買いの1台だといえる。

フォルクスワーゲン・ゴルフR エステート・パフォーマンスパッケージ(欧州仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフR エステート・パフォーマンスパッケージ(欧州仕様)

反面、お買い得とはいえないだろう。ドイツ価格は5万1585ユーロ(670万円)に設定され、レート換算で英国価格は4万1000ポンド(623万円)以上が想定される。さらにオプションのパフォーマンスパッケージには、2000ポンド(30万円)が必要だ。

最新フォルクスワーゲン・ゴルフR ヴァリアントの英国での発売は、2022年の前半が予定されている。

フォルクスワーゲン・ゴルフR エステート・パフォーマンスパッケージ(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万3500ポンド(661万円/予想)
全長:4633mm
全幅:1789mm
全高:1498mm
最高速度:270km/h
0-100km/h加速:4.9秒
燃費:13.7-13.9km/L
CO2排出量:164-166g/km
車両重量:1630kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:320ps/5500-6500rpm
最大トルク:42.7kg-m/2100-5350rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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