【じっくり見よう】フェラーリ296 GTB、実車で解説 PHEV第2弾が日本上陸

公開 : 2021.10.14 09:00

新型フェラーリが日本に! 「296 GTB」を隅々まで撮影しました。価格/内装/プラグインハイブリッドについて解説します。

120°V6ターボの血統 電動化時代に

6月にワールドプレミアされたフェラーリの新たなセグメントを切り開くニューモデル「296 GTB」が、早くも日本に上陸し披露された。

296 GTBの特徴は、フェラーリのロードカーとして初めてV6エンジンを搭載したモデルで、SF90に続くプラグイン・ハイブリッド車であることだ。ただし、こちらは2WDとなる。

フェラーリ296 GTB(プレプロダクション・モデル)
フェラーリ296 GTB(プレプロダクション・モデル)

車名の296は、2.9L 6気筒エンジンを搭載することを意味する。

古くからのファンにとっては6気筒と聞くとディーノを思い浮かべようが、296 GTBは1961年に登場した156 F1に端を発するバンク角120°のV6を受け継ぐ。

120°V6エンジンは1980年代になるとバンク間にターボを配した1.5LユニットがF1マシンに搭載され、2度のコンストラクターズ・チャンピオンを獲得する。

フェラーリにとって120°V6ターボ・ユニットは、栄光の血筋を受け継ぐエンジン形式なのである。それだけに新時代を切り開く296 GTBにふさわしいものといえる。

ドライブトレインは、ミドに搭載したF163ユニットとトランスアクスルの間に電動モーターが組み込まれたもの。モーターは167psを発揮し、システム総合出力は830psに達する。

3.9Lターボの「F8」系の最高出力が720psだったのに対し、296 GTBはエンジン出力こそ663psだが、電動モーターを加えた総合出力では上回る。またフルEVモードでは25kmの電動走行が可能だ。

発表会場で実車を確認したが、バンク間にターボ/触媒などの排気系が通るため、シリンダーヘッド部分から遮熱カバーで覆われ、前方はカーボン製カバーで塞がれており、エンジン本体は隠れて見ることはできない。

新時代のデザイン どこに注目?

F8トリブート812スーパーファストでデザイン・テイストを変えたフェラーリだが、その後に登場したローマからシンプルな造形に変わり296 GTBにも受け継がれた。

296 GTBではこれまでより一回りコンパクトなディメンジョンと謳われ、F8トリブートに比べ全長で-41mm、全幅で-21mm、全高で-19mm、ホイールベースは55mm短縮された。

フェラーリ296 GTB(プレプロダクション・モデル)
フェラーリ296 GTB(プレプロダクション・モデル)    上野和秀

シンプルで空力を突き詰めたデザインを採用し、これ見よがしな空力のための造形は廃されている。さらに、随所に往年のフェラーリのモチーフが盛り込まれているのが特徴だ。

Bピラーのカット、リアフェンダーの形状、切り詰められたテールエンドは、1963年に登場した250LMが備えるフェラーリのDNAを現代的に解釈したものとアナウンス。

このほかトンネルバック・スタイルが復活。ショーアップする透明なエンジンフード中央にはボディ同色のアウトレットを備え、テスタロッサF355などのモチーフも盛り込まれている。

ヘッドランプはブレーキのインテークと一体化したデザインとされている。バンパー裏にはティートレイと呼ばれる整流版が備わり、アンダーフロアの負圧発生を助ける。

ダッシュボードはソフトなイメージのデザインで、ドライバーを囲むように配置。ローマから採用された往年のシフトゲート思わせる「カンチェレット」と名付けられたドライブセレクターがフロアコンソールに配される。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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