後輪駆動車の限界ギリギリ フェラーリ新型『296スペチアーレ』発表 出力と空力を大幅強化
公開 : 2025.04.29 23:55
フェラーリは新型スーパーカー『296スペチアーレ』および『296スペチアーレA』を発表しました。パワートレイン、空力、足回りを徹底的に鍛え上げた296の高性能モデルで、合計出力880psを実現しています。
徹底的に鍛え上げた高性能モデル
フェラーリが新型『296スペチアーレ(296 Speciale)』および『296スペチアーレA(296 Speciale A)』を発表した。同社史上「最も楽しく、感情を刺激する」モデルであり、その880psというパワーは後輪駆動車の限界に「非常に近い」とされている。
イタリアでの価格は40万7000ユーロ(約6600万円)からで、クーペのスペチアーレとスパイダーのスペチアーレAの2種類のボディタイプが用意される。従来の296 GTBと比べて出力が50ps向上し、ダウンフォースは20%増、車重も60kg軽量化された。

しかし、フェラーリのマーケティング責任者エンリコ・ガリエラ氏は、「単に馬力を少し追加しただけのモデルではありません」と述べている。より包括的に手が加えられているのだ。
例えば、V6ツインターボエンジンには、新型ハイパーカーのF80と同じアルミニウム製ピストンとチタン製コネクティングロッドが使用されており、ヘッドをブロックに固定するボルトもチタン製だ。
これにより、燃焼室圧力が7%向上し、エンジン単体の出力は従来の663psから700psに高められた。
また、クランクケースを細部まで削り込み、ターボも設計を見直すことで、エンジン全体で9kgの軽量化に成功した。
エンジンベイとキャビンを結ぶ「ホットチューブ」(サウンドパイプ)はサイズが2倍になり、V6の音質と音量を向上させている。
そして、ハイブリッドシステムの冷却機構を改良することでモーターの出力を13ps高め、合計出力880psを実現した。
「後輪駆動車で実現できる最大出力の限界に非常に近づいています」と、開発責任者のジャンマリア・フルゲンツィ氏は述べている。
生産期間は「非常に限定的」
このパワーアップを念頭に、空力性能の全面的な見直しが行われ、リアエンドにはレーシングカーの296チャレンジおよび296 GT3から着想を得たデザインが採用された。
リアエンド上部には2枚のウィングレットが装着され、フェラーリのエンブレムのすぐ上に小型アクティブスポイラーが取り付けられている。このスポイラーは3段階の位置設定が可能で、ステアリングの操舵角とスロットル開度に応じて調整される。

こうした空力面の改良により、ダウンフォースは250km/h走行時で最大435kgに達し、296 GTBと比較して20%の向上を果たしている。
ダンパーとスプリングのセットアップも見直され、車高が5mm下がり、コーナリング時のボディロールの最大値が13%減少したという。
コクピットは軽量化を追求し、296 GTBのものよりも5kg軽いという新設計のシートを採用した。
新しい1ピースのドアパネルなど、車内の随所にカーボンファイバーが多用されている。ステアリングホイールは、従来のタッチセンサー式コントロールパッドから伝統的なボタン式に切り替えられた。
フェラーリによると、スペチアーレの生産台数は厳密に制限されるわけではないが、生産期間はGTBよりも大幅に短縮される予定だという。ガリエラ氏は、「非常に限定的」なモデルになると語った。
フェラーリは、296スペチアーレおよび296スペチアーレAを「アクティブ」な顧客、つまり過去5年間に正規ディーラーから新車または認定中古車を購入した顧客、あるいは車両のメンテナンスを受けている顧客にのみ販売する方針だ。
画像 50ps向上&60kg軽量化を実現した「特別」な高性能バージョン【フェラーリ296スペチアーレを写真で見る】 全24枚
コメント