【元専門誌編集長の視点】フェラーリ296スペチアーレが日本初お披露目!既に全完売の先に見えるもの

公開 : 2025.06.21 13:15

フェラーリ・ジャパンは6月21日、富士スピードウェイで21、22日両日で開催している『フェラーリ・レーシング・デイズ2025』にて、『フェラーリ296スペチアーレ』を初お披露目しました。約13年フェラーリ専門誌編集長を務めた、編集部ヒライのレポートです。

起源は2003年に登場したチャレンジストラダーレ

フェラーリ・ジャパンは6月21日、富士スピードウェイで21、22日両日で開催している『フェラーリ・レーシング・デイズ2025』で、『フェラーリ296スペチアーレ』を初お披露目した。ここでは前日メディア向けに行われた発表会の模様をレポートする。

296スペチアーレは、4月29日にイタリア・マラネッロにあるフェラーリ本社で発表されたスペシャル(=スペチアーレ)モデル。車名と外観からご想像のとおり、296GTBのハイスペックモデルだ。本社での発表時には『296スペチアーレA』と呼ばれるGTSをベースとしたオープンモデルも公開されているが、今回はクーペのみのお披露目となる。

富士スピードウェイで日本初お披露目となったフェラーリ296スペチアーレ。
富士スピードウェイで日本初お披露目となったフェラーリ296スペチアーレ。    上野和秀

簡単に書けば、296スペチアーレはハイパワー&軽量なモデルで、その起源は2003年に登場した360モデナをベースとしたチャレンジストラダーレとなる。その後、クーペに限ると、2007年の430スクーデリア、2013年の458スペチアーレ、2018年の488ピスタと続き、今回はこれまでのV8とは異なり、V6として初のスペシャルモデルとなった。

296GTB、GTSのパワーユニットは2992ccのV6ツインターボとリアに搭載されたモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドで、その成り立ちは変わらない。しかし、V6が37psアップの700psになり、モーターも新たなエクストラブースト採用で13psアップの最高180psということで、合計50psアップの880psを後輪駆動で実現している。

組み合わせられるトランスミッションが8速DCTであることも変わらないが、変速時の増大トルクを活用することで変速時間を短縮。この日は『ファストシフト』という呼び方で、パフォーマンスとドライバーの一体感を高めていることを強調した。

レーシングカー由来と感じさせるディテールが散見

乾燥重量も、60kg軽量となる1410kgになった。これはボディの一部にカーボンパーツを採用したのはもちろん、エンジンではチタンコンロッドなどの採用で約9kg軽量化して実現した数値だ。これにより、パワーウェイトレシオは1.6kg/psとなった。フィオラーノ・サーキットのラップタイムは1分19秒だ。

ダウンフォース向上もトピックだ。250km/hで435kgという数値は296GTBから20%増加となり、これはワンメイクマシンである296チャレンジのソリューションを活用しているという。フロントボンネットはエアロダンパー、テールはガンマウイングと呼ばれ、実車を見ていても、いかにもレーシングカー由来と感じさせるディテールが散見された。

会場に展示されたのは、『ヴェルデ・ニュルブルクリンク』と呼ばれるグリーンのボディカラー。
会場に展示されたのは、『ヴェルデ・ニュルブルクリンク』と呼ばれるグリーンのボディカラー。    上野和秀

296GTB、GTSで高評価のサウンドも注目だ。プレスリリースからそのまま引用すると、『特徴的なサウンドを受け継いでいます。燃焼で生じる3次、6次、9次の周波数成分のみで構成された純粋な倍音を響かせ、その質と迫力、音量がさらに高まりました』とある。筆者は『純粋な倍音』というフレーズが刺さり、期待が高まった。

この日会場に展示されたのは、『ヴェルデ・ニュルブルクリンク』と呼ばれるグリーンのボディカラーの296スペチアーレ。車名は『グリーンヘル』と呼ばれるニュルの深い森をオマージュしたものだが、実車はもう少し明るい印象だった。

なおプレスリリースでは発表されていないが、車両価格はクーペが5911万円、オープンが6715万円とのこと。既に全車が完売しており、欧州では来年まずクーペから納車がスタート。その後、オープンは6月くらいからとなる。日本はもう少し先になりそうだ。ちなみに296GTBの生産がもう少しで終了し、GTSはまだ続くとのこと。恐らくはそれぞれが入れ替えで、スペチアーレ生産に移行するのであろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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