880psを手懐けるMR フェラーリ296 スペチアーレ(1) 「限界に近い」ハードとは?

公開 : 2025.10.28 19:05

488 ピスタの後継、296 スペチアーレ 1t当たり550psのパワーウエイトレシオ 249km/hで435kgのダウンフォース 興奮の内蔵へ響く加速 望外に魅力的な公道での走り UK編集部が試乗

1t当たり550馬力のパワーウエイトレシオ

フェラーリ296 スペチアーレの特筆すべき特長を、まず2つ。1つ目は同社の現行モデルで、ヨー方向の慣性モーメントが最小にある。つまり、回頭性が極めて鋭い。もう1つは、後輪駆動のフェラーリとして歴代最強といえる。最高出力は、総合880psを誇る。

テストドライバー・チーフ、ラファエレ・デ・シモーネ氏は、過去にないほどスリリングな体験だと主張する。それでも、50ps劣り、60kg重い通常の296 GTBでも、5速コーナーの立ち上がりでテールはむずがる。

フェラーリ296 スペチアーレ(欧州仕様)
フェラーリ296 スペチアーレ(欧州仕様)

「エクストラパワーを制御するツールを用いることで、われわれは前進できるのです。かなり限界には近いと思いますが」。と、彼は続けてもいた。前夜のベッドで、手に負えないフェラーリなのでは、と疑問がよぎる。

翌朝は、お膝元のフィオラノ・サーキット。ニュルブルクリンク・ヴェルデと呼ばれる、鮮やかなグリーンのボディが眩しい。だがそれ以上に鮮烈だったのが、1t当たり550馬力というパワーウエイトレシオでありながら、手懐けられることだ。

488 ピスタの後継 F1グレードのコンロッド

果たして、フェラーリ488 ピスタの後継として、296 スペチアーレは誕生した。296 GTBの軽快さや力強さはそのままに、更なる一体感と表現力を獲得したといえる。

3.0L V6ツインターボユニットは、700psと76.7kg-mを発揮。ハイブリッド・システムは、296 GTBと同等で、駆動用バッテリーは7.5kWhで、8速デュアルクラッチATとエンジンの間に駆動用モーターが備わる。

フェラーリ296 スペチアーレ(欧州仕様)
フェラーリ296 スペチアーレ(欧州仕様)

キャビンとエンジンルームを仕切るバルクヘッドには、レゾネーターを2基追加。8500rpmまで回るエンジンのサウンドを、車内へ直接響かせる。ターボユニットとして、最高の音響体験を叶えている。

コンロッドとスタッドボルトはチタン製で、F1グレード。フェラーリF80に似た、軽量クランクも得ている。技術者によれば、更に120psの向上も可能ながら、トラクションを得るのに前後の重量バランスを40:60から35:65へ変える必要があるという。

249km/hで435kgのダウンフォース

フロントバンパーにはスプリッターが与えられ、エアインテークは拡大。フェラーリはウイングを好まないが、リアの左右には控えめな固定式が備わる。ダウンフォースは、488 ピスタの3割、296 GTBの2割増し。249km/h時に、435kgが生まれる。

GTBのように、自動で立ち上がるスポイラーも装備するが、設定は専用。ドラッグを抑えるモードとダウンフォース優先に加えて、バランスの良い中間モードを得ている。動作速度は、5割増しになった。

フェラーリ296 スペチアーレ(欧州仕様)
フェラーリ296 スペチアーレ(欧州仕様)

ボンネット内の荷室を維持しつつ、488 ピスタへ似たダクトをノーズ部分に採用。ボディ底面からフロントガラス直前へ気流が導かれる形状で、有効なダウンフォースを生んでいる。また、そのバランスがフロント寄りになり、回頭性へ貢献するそうだ。

価格は、英国では296 GTBより10万ポンド(約2040万円)高い。35万9779ポンド(約7339万円)は議論を呼びそうだが、出色のスーパーカーであることは間違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フェラーリ296 スペチアーレの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事