【電動のネオクラシック】エリーゼ・ベースのテスラ・ロードスター 先進企業の起源 前編

公開 : 2021.10.31 07:05

電気自動車と自律運転を牽引するイメージを持つテスラ。その起源は、ロータスをベースとした小さなロードスターでした。英国編集部がその1台へ試乗しました。

フェラーリより速く、プリウスより高効率

執筆:Alastair Clements(アラステア・クレメンツ)
撮影:Will Williams(ウィル・ウイリアムズ)
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
このまま進めば、内燃エンジンのみで走る新車を2030年以降の英国では買えなくなる。その5年後には、ハイブリッドも選べなくなる。電気自動車だけの未来は確実に近づいている。

電気自動車は、必ずしも新しい技術とはいえない。これまでも、純EVは買おうと思えば選べた。スピードレコードの更新を目的に1899年に製作されたラ・ジャメ・コンタントというマシンも、エネルギー源はバッテリーだった。

テスラ・ロードスター(2008〜2012年/英国仕様)
テスラ・ロードスター(2008〜2012年/英国仕様)

純EVは環境に優しいかもしれない。だが、今以上の利便性や楽しさを提示することが、自動車メーカーの課題だと思う。過去にとらわれることなく。

電気自動車という技術を積極的に推し進める企業といえば、テスラ社を思い浮かべるだろう。だが15年ほど前は、強気なボスが型破りなビジョンを掲げる、ベンチャー企業の1つに過ぎなかった。

その創成期に生み出されたのが、テスラ・ロードスターだ。「フェラーリより速く、プリウスよりエネルギー効率は優れています。なぜ他のスポーツカーが必要なのでしょう。これより遅く、環境を悪くするようなクルマがお好みですか?」

当時はテスラへの投資家の1人だったイーロン・マスク氏は、熱く語った。2004年から、強力に事業を推進しながら。

そもそもテスラ・ロードスターは、インターネット事業で成功したマーティン・エバーハード氏とマーク・ターペニング氏がスタートさせたもの。グーグルの創設者、ラリー・ペイジ氏やセルゲイ・ブリン氏も投資する、新世紀のプロジェクトとして。

スポーツカーらしいハンドリングを求めて

起業した2人は、野心に溢れていた。だが、クルマづくりに対する経験は不足していた。

そこでエバーハードとターペニングは、英国へパートナーを求めた。2004年のロサンゼルス・モーターショーで出会ったロータスの伝説的技術者、ロジャー・ベッカー氏がプロモーションするエリーゼが、理想的なベースになると直感したらしい。

テスラ・ロードスター(2008〜2012年/英国仕様)
テスラ・ロードスター(2008〜2012年/英国仕様)

熱意的な2人の提案を、ロータスは受諾。2006年7月のブログに、エバーハードは次のように記している。「テスラとして初めてのモデルには、正真正銘のスポーツカーらしいハンドリングを求めていました。そこでロータスへアプローチしたんです」

「ロータスは、最高のハンドリング性能を持つスポーツカーで知られています。エリーゼのシャシーは、天才による作品です」

その後、テスラはロードスターとエリーゼとの差別化に取り組む。エリーゼとの共通部品は10%にも満たないとしていたが、深い関係性を隠すことはできなかった。プロポーションだけでなく、フロントガラスやルーフ、ドアミラーにもエリーゼの香りが残る。

ロータスでプロジェクト・マネージャーを務めたトニー・シューテ氏は、「ロードスターの計画は、エリーゼをカットして組み直すことから始まりました。根本的な変更は、いくつも加えられています」。と話している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アラステア・クレメンツ

    Alastair Clements

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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