マツダ新技術「コ・パイロット」体験 自動運転技術にある「マツダ思想」とは?

公開 : 2021.11.10 05:45

異常事態体験 技術としては「確か」

高速道路を模した走行では、かなり強い眠気に襲われた場合を想定した。

ドライバーが眼を完全に閉じて、ハンドル操作やペダル操作が緩慢になると、約3秒後で「ドライバー異常時対応システム」が作動した。

マツダ3ファストバック・スカイアクティブDをベースとした技術試作車
マツダ3ファストバック・スカイアクティブDをベースとした技術試作車    マツダ

ダッシュボードやインパネの画面には、表示が出て、車内音声が流れ、クラクションが鳴り、高速道路など自動車専用道での最低速度である50km/hまで自動で減速した。

そこから約3分の間に、高精度三次元地図の情報を基に、最寄りの非常停車帯までクルマのシステムが運転をして、自動で操舵して完全に停車した。

この状態で、ヘルプネットを通じて自動通報して救急/消防/警察へ出動を要請をおこなう。

また、ドアのロックが自動で開錠される。

ドライバーの体調が急変して、例えば運転中に意識を失うなどの状態になっても、かな強い眠気に襲われた場合と同じような、クルマの振る舞いをする。

次に、走行状況を一般道路を模した状態で、高速道路と同じような状況を想定した体験をおこなった。

この場合、ドライバー異常時対応システムが作動するのは、約1分間としている。これは、日本の交差点は最長でも約150mであるため、他のクルマや歩行者、自転車との接触事故を避けるために設定した作動時間だ。

こうした技術が2022年から段階的に量産される。

違いは? 自動運転であっても……

2022年から量産される、コ・パイロット1.0では、高速道路では路肩への退避、また一般道路では走行中の車線内での減速と停止をおこなう。

また、同乗者がドライバーの異常を感じた場合に車内の天井にある押しボタンを操作してシステムを作動することもできる。

体験中の様子
体験中の様子    桃田健史

さらに、2025年量産を目指すコ・パイロット進化バージョンでは、今回の技術試作車のように、高速道路でも一般道でも複数の車線を変更して、非常停車帯での停車をおこなう。

脳科学の観点からドライバーの異常を予兆する機能も加わる予定だ。

ドライバー異常時対応システムは、スバルのアイサイトX、日産のプロパイロット2.0、ホンダ・センシング・エリート、そしてトヨタ・アドバンスドドライブなど最新鋭の先進運転支援システムでもすでに組み込まれている。

その中で、「コ・パイロット・コンセプト」の特徴は、ハンズオフ機能などアクティブ・クルーズ・コントロール機能が作動していない高速道路での走行時や、一般道でも作動するという点だ。

マツダとしては、いわゆる自動運転と「コ・パイロット・コンセプト」は、技術的には連携していても、クルマづくりの理念としては「別物」という理解をしている。

今回の実体験を通じて、そうしたマツダの考えが少しづつ分かってきたように思えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。

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