新型 アウディRS3 サルーンへ試乗 モデルチェンジ 5気筒ターボで400馬力

公開 : 2021.12.03 08:25  更新 : 2022.08.08 07:20

素晴らしい印象を与えたハッチバックの新型RS3。では、サルーンはいかに。英国編集部が一般道で評価しました。

英国や日本により妥当なサイズとパワー

今や、BMW M3やメルセデスAMG C63といったDセグメントの高性能モデルは、英国では8万ポンド(約1232万円)に迫ろうとしている。代を重ねる毎にボディは大きくなり、公道では解き放つことが難しいほどパワフルにもなった。

そんな成長するモデルをよそ目に、1サイズ小さいCセグメントに属するアウディRS3がモデルチェンジした。ボディサイズやパワー、スピードは、英国や日本のように混雑した島国にとって、より妥当なものだといえると思う。

アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)
アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)

新しいRS3は、ハッチバックもイイ。だが、サルーンなら特別な印象が強まる。実際、販売台数を見ても2:1で、意外とサルーンの支持率は高い。

うれしいことに、アウディは直列5気筒ターボエンジンを最新のRS3にも残してくれた。恐らく財務部門などは、4気筒を強く押したことだろう。この個性的なユニットは、RS3とTT RSにしか搭載されていないのだから。

アウディのエンジニアは、そのせめぎ合いに勝ったようだ。最新のRS3では最高出力400ps、最大トルク50.9kg-mを発揮してくれる。

ハッチバックでもサルーンでも、数字は変わらず、先代よりトルクが2.0kg-mほど上昇している。ボディの違いで、動的能力にも目立った差はない。両車とも0-100km/h加速は3.8秒でこなし、従来から0.3秒縮めている。

RSトルクスプリッターとアウディが名付けた、トルクベクタリングも特長。リアタイヤ左右の一方へ、必要ならリアアクスルに割り振られるすべてのトルクを伝達できるシステムで、別名ドリフト・モードとも呼ばれる新機能だ。

ハッチバックより実用性は上

サスペンションまわりも進化した。先代からフロントトレッドは33mm広げられ、ネガティブ・キャンバーが強められている。新しくなったアダプティブダンパーは、5000ポンド(約77万円)超のオプションだ。

今回の試乗車には、ほかにセラミックブレーキとRS3スポーツ・エグゾーストシステムも装備。最高速度のリミッターは解除され、289km/hまで届く設定になっていた。通常は249km/hに制限される。

アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)
アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)

ハッチバックとサルーンで明確に違う点は、いわずもがなボディ形状。サルーンはハッチバックのRS3と比較して、153mm全長が長く、24mm全高が低い。リアシートの頭上空間も少し狭くなっている。

身長が180cm以上あるような大人の場合、リアシートは少し窮屈かもしれない。ホイールベースは同値だから、足元空間は同等に広い。

RS3 サルーンの荷室容量は、321Lある。ハッチバックより広く、リアシートを常時使う前提なら実用性はサルーンの方が上。後ろが長いから、追突時などの安全面でも優れるといえる。

英国で用意されるトリムグレードは、4段階。ベースグレードのRSとフォアシュプルング、カーボンブラックのほかに、ローンチエディションが選べる。試乗車もローンチエディションだったが、こちらは既に完売したという。

基本情報はこのくらいにして、ステアリングホイールを握ってみよう。アウディの技術者は、これまでのRSモデル共通の癖といえた、アンダーステアを見事になだめることに成功したようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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