ボルボの安全研究、開発専門家が語る『高齢ドライバー安全運転』の10ポイント!【死傷者ゼロに向けた挑戦】
公開 : 2025.12.09 11:45
ボルボ・カー・ジャパンはスウェーデンの本社で約30年安全研究、開発を担っているトーマス・ブロバーグ氏を招聘し、『高齢ドライバーの安全運転』をテーマにしたメディア向けセミナーを開催しました。篠原政明のレポートです。
創業当初から続く安全を重視したクルマ作り
11月20日、ボルボ・カー・ジャパンはスウェーデンのボルボ・カーズ・セーフティセンターで約30年にわたりボルボの安全研究、開発を担っているトーマス・ブロバーグ氏を招聘し、『高齢ドライバーの安全運転』をテーマにしたメディア向けセミナーを開催した。
1999年からボルボ・カーズ・セーフティセンターのマネージメントチームの一員となっているブロバーグ氏は、これまでにADAS(先進運転支援システム)、自動ブレーキ、乗員拘束/衝突安全システム、チャイルドセーフティ技術などの開発に携わっている。

ボルボ・カーズは創業当初から安全を重視したクルマ作りを続けており、今も新しいボルボ車において死亡事故をなくすこと、つまり死傷者ゼロに向けた挑戦を継続。1970年から今までに、5万件と8万人が関わる交通事故を調査し、統計的事故データの収集や、衝突事故の詳細な研究を行っている。
具体的には、事故データの収集→安全上必要なことの考察→製品開発→試作→検証→生産というサイクルを繰り返し、新たなイノベーションを創出。自動車安全におけるリーダーであり続けようとしているわけだ。
リスクは40年前に比べて約5分の1に減少
2007年には、実際の事故状況を再現するために開発された衝突試験施設『ボルボ・カーズ・セーフティセンター』が開設された。現在では実際の試験だけでなく、コンピュータ上で再現する試験も行われている。
そして、安全のためには衝突前の危険の予知や衝突を回避する手段、そして衝突後の対応など、包括的なアプローチも探っている。

例えば、世界初の3点式シートベルト(1959年)、むち打ち保護システム(1998年)、自動ブレーキのシティセーフティ(2008年)、運転者行動検知システム(2023年)など、さまざまな安全技術を開発してきた。
実際、ボルボ車の安全性は進化しており、シートベルトを装着したドライバーの衝突事故におけるリスクは40年前に比べて約5分の1に減少している。ボルボの安全技術の開発は今もなお進歩しており、今後も新たな安全技術が導入されていくことだろう。
高齢ドライバーにおける運転の傾向
さて、世界全体では毎年約119万人が道路上の交通事故で亡くなっている。ちなみに2024年、日本では3221人、スウェーデンでは213人が交通事故で死亡している。
そしてスウェーデンも日本と同様、高齢化が進んでおり、総人口における65歳以上の人の割合は、日本が31.7%、スウェーデンでも22.9%に達している(2023年)。実際、日本でも65歳以上の人の事故死者数割合は、30年前に比べて約3倍に増えている。スウェーデンも日本ほどではないが同様の傾向が見られる。

高齢者は事故に遭うと骨折などしやすく、また治りにくい(もちろん個人差はある)。それゆえ、シートベルトを正しく装着することが必要なのだが、調査してみると高齢者はベルトのフィット感の重要性に対する認識が低く、また正しい姿勢を得るまでに多くの時間と労力を費やすことが多かった。
そして高齢化は、1:身体的要因(視覚、感覚、筋肉)、2:心理的&認知的要因(注意、認識、意思決定)、3:ミスを補う行動(経験、運転時間/状況/方法)といった、運転するための重要な要素に影響を与えてくる。






















