初代日産シーマに乗ってみた 現代でも通用するラグジュアリー体感

公開 : 2021.12.24 17:10  更新 : 2021.12.26 12:00

初代日産シーマに今あらためて試乗。「現代でも通用するラグジュアリー」を身にまとっていました。

シーマ現象2021」

今日び「日産シーマ」と検索すると、伊藤かずえさん一色。

だがシーマは今日もなお現役であり、ニッサンの最上級に位置している。ハイブリッドモデルのお値段930万円越えという、押しも押されもせぬ高級車なのである。

初代日産シーマ(Y31型)
初代日産シーマ(Y31型)

それでも、日産シーマという名前を聞いて、多くの人が想像するのは薄べったくて丸みを帯びたボディを与えられ、「シーマ現象」と呼ばれるほどの大ブームを引き起こした初代(Y31型)なのである。

初代シーマのデビューは1988年。セドリック/グロリアの上級モデルとして、3ナンバーのボディを与えられたシーマは、最大のライバルであるクラウンを凌ぐほどの人気で、国産高級車の代名詞となったのだ。

そんな初代シーマが今日のネットを騒がせているコトの発端はしかし、クルマそのものや伊藤かずえさんという女優のネームバリューにあるのではない。

その起点は伊藤さんが1オーナーで30年間、26万km越えという距離を走り、今なお愛車に愛情たっぷりに接しているという事実にある。

「大好きな1台をじっくり乗る」

日本人がとかく忘れがちなロングオーナーシップの美談に多くの人が心打たれたのである。

しかもその愛車が、かつて一世を風靡した初代シーマであり、オーナーが有名女優だったというわけなのである。

一目でわかる高級車のオーラ

30年落ちというのは古いクルマの世界では珍しくない。それどころか50~60年落ちもざらである。

これら時間が経っても愛され続けるクルマの多くはスポーツカーのような特徴的なモデルであることが多く、あまり普段使いされることもない。

65扁平+15インチ・ホイールで、黒いサイドウォールの面積がとても大きい。
65扁平+15インチ・ホイールで、黒いサイドウォールの面積がとても大きい。

今日初代シーマを乗り続けているオーナーは好きが高じて乗っている場合がほとんどだろうが、しかし初代シーマ実用車でもある。

では今日の眼で見る往年のハイソカー、初代シーマとはいかなるクルマなのか?

小林新吾さんが所有する1990年式の日産グロリアシーマ・タイプIに乗せていただいた。

パールホワイトのボディは長年車庫保管されてきたからだろうか、外装のコンディションは極上である。

タイヤも今時の新車には見られなくなってしまった65扁平+15インチ・ホイールで、黒いサイドウォールの面積がとても大きい。

フロントのボンネットの上には雄の孔雀が羽を広げたような立派なエンブレムが据えられているが、これはアカンサスの葉を模したもの。

今から30年以上も前の初代シーマは一目で20世紀のクルマであることがわかる。

だがしかし、今日の眼で見てもひと目で高級車であることも伝わってくる。纏ったオーラの大きさでは、今日のフルサイズセダンにも全く引けを取らないと感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。

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