キメラ・エボ37へ試乗 ランチア・ラリー037を復刻 4気筒ツインチャージャー 後編

公開 : 2021.12.24 08:26

伝説のマシン、ラリー037を現代の技術で復刻したエボ37。見事な完成度に、英国編集部も深く気に入ったようです。

イタリアンなドライビングポジション

キメラ・エボ37の開発を率いたルカ・ベッティ氏は、レストモッドのカテゴリーに属するクルマとしては最もエクストリームだ、と表現する。ポルシェ911をDLS 911として再生させたシンガーが聞けば黙っていないかもしれないが、誇張ではないと思う。

エボ37に充分熱が入ったところで、筆者が運転席に座る。モモ社製のステアリングホイールが膝のそばに伸びる、イタリアンなドライビングポジションに収まる。脚は折り曲げて、腕を伸ばす格好だ。

キメラ・エボ37(欧州仕様)
キメラ・エボ37(欧州仕様)

基本的に、車内の人間工学もランチア・ラリー037に準じている。ラリードライバーのヴァルター・ロール氏やマルク・アレン氏が、こんな姿勢でステアリングホイールを激しく回していたのかと考えると、改めて驚かされる。

ぎこちない姿勢を除けば、それ以外は運転へ集中しやすい空間。プロトタイプということでセンターコンソールには無骨なトグルスイッチが並んでいたが、市販版ではもう少し美しいスイッチへ変更されるという。

ダッシュボードも当時のランチア風。横に長い箱のようなカタチは、至ってシンプル。マット仕上げが美しいカーボンファイバー・パネルへ、黒い文字盤に赤い目盛りのメーターが並ぶ。

バケットシート・シェルもカーボン製。鮮やかなレッドのアルカンターラもふんだんに用いられている。華やかだった、80年代の雰囲気を演出するように。

トランスミッションは6速MT。トランスアクスル・レイアウトで、シフトパドル付きのシーケンシャル仕様も選べるという。露出したシフトレバーの造形が美しい。

ブースト上昇とともに拍車が掛かる加速力

エボ37を激しく発進させるには、高めの回転数が求められる。クラッチペダルは適度に軽く、エンストさせずにつなぎやすい。ストレートのカットギアが唸る。後方からは圧縮される吸気音が響く。想像以上に運転しやすい。ゆっくり動かすような場面でも。

シフトレバーも軽く動く。少しタッチがゴムっぽいものの、ゲートは正確。運転席からの視界も良い。乗り降りもしやすかった。

キメラ・エボ37(欧州仕様)
キメラ・エボ37(欧州仕様)

ステアリングラックは、アルファ・ロメオジュリア・クアドリフォリオ用のものだというが、レシオをクイックに変更し、電動アシストは抑えられている。繊細で滑らかに動く。ロータスエキシージ S3のように、エボ37の運転は難しくない。

狭いカート用サーキットだから、長く加速は続けられない。それでも、アクセルペダルに対するパワートレインの反応はラリーマシンそのもの。

電動スーパーチャージャーが低回転域で効果的に動き、最新のターボエンジンと同等の吹け上がりを実現している。ターボラグが個性を与えている。比較的低めの回転数から太いトルクが発生するが、ターボブーストの上昇とともに加速力に拍車が掛かる。

あっという間に直線が終わり、アクセルオフ。ブローオフの悲鳴が聞こえる。ポルシェ911のレストモッドには、もっとリニアな加速と聴き応えのあるサウンドを叶えた事例もある。だが、グループBを彷彿とさせるようなドラマチックさでは負けていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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